民事再生法を申請したからといって、資金不安から開放されるわけではない
私たちが、厳しい状況の中小企業経営者からご相談を受ける中で、たまに次のように考えていらっしゃる経営者がいます。
「民事再生を行えば再生できるんだ。」
ただ、中小企業が民事再生法を使って再生を果たすことは、困難なことが多いです。
民事再生法申請を行うと、銀行等金融機関や仕入先等取引先に、債務をカットしてもらうことになります。そうすると、債務をカットされた金融機関からは今後の借入れが困難、というより不可能になりますし、債務をカットされた取引先からは今後の取引拒否、もしくは取引拒否されなくても、現金支払いを要求されることになります。
そうなると、民事再生法を申請する企業においては、必要なものは「資金」となります。
民事再生法を申請したからといって、資金の不安から一気に開放されるわけではないのです。民事再生法を申請した企業こそ、その後の資金繰りをどう行っていくか、考えていかなければなりません。
そこで、次の2つの手が考えられます。
- スポンサーをあらかじめ探しておくか、民事再生法申請を行った後にスポンサー探しに動き、資金を支援してもらう。
- 民事再生法を申請した企業向けの融資を受けられないか検討する。
まず、スポンサーを探す方法について
スポンサー候補となる企業も、ビジネスでやっているのですから、当然、民事再生を行おうとする企業を傘下におさめることのメリットがないといけません。
民事再生を行おうとする企業が、事業自体は利益が出ていたり、魅力的な顧客を抱えていたり、魅力的な技術力があったりと、メリットがなければ、なかなかスポンサーはつきません。
そのため、民事再生が頭にある経営者は、まずは自社が、外から見て魅力的と言えるかどうか、考えてみなければなりません。
次に、民事再生企業向けの融資
日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫・中小企業金融公庫等)の「事業再生支援資金」「企業再建・事業承継支援資金」、商工組合中央金庫の「事業再生支援貸付」、信用保証協会の「再建企業向融資」など、政府系金融機関が、民事再生企業向けの融資制度を用意しております。
しかし融資制度があるといっても、現実的に審査が通るのはなかなか困難です。
こう考えると、「民事再生を行えば再生できるんだ。」という考え方は甘い考え方で、大半の中小企業の、法的整理の選択肢は「破産」ということになってしまいます。
私たちが、厳しい状況の中小企業経営者にいつも伝えているのは、破産や民事再生などの法的整理を行う前に、再生に向けてやれることはいっぱいある、ということです。
「民事再生」という言葉が一人歩きし、どんな企業でも民事再生法によって再生できるんだ、という誤解を持っている経営者は多いのですが、民事再生の現実をよく考えてみてください。
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