全くことなる2事業を行う売り手が、事業譲渡、その後時間をおいて、株式譲渡という2段階で売却(引退)に成功した事例
- m&a事例
売り手の概要・状況とニーズ
売り手様は、運送事業と介護事業という全く異なる2つの事業を運営していた。
運送事業の収支はトントン、介護事業は黒字であったが、過去に別の事業にチャレンジし、失敗しており、その負債(1億円超)に苦しんでいた。
金融機関への返済は、リスケしており、社会保険関連の滞納もあった。
オーナー兼代表取締役も75歳を超えており、連帯保証を解除し、引退したいとのニーズであった。
経緯・交渉・スキーム・その後など
売り手様は、過去弊社の経営(財務)コンサルティングサービスを利用されておりました。
数年ぶりのコンタクトをいただき、出口(引退)戦略として、M&Aにチャレンジされることを決断。
当初は、全く異なる2つの事業運営しているC社を株式譲渡で一括売却することを計画し、そのように活動。
しかし、その売却活動を通じて、運送事業だけを引き受けたい、介護事業だけなら引き受けを検討したいという相談を受けることがしばしばありましたので、売り手様と協議。
その結果、まずは、利益が堅調な介護事業を事業譲渡、介護事業譲渡後、運送事業が残るC社を株式譲渡という2段階で行うことを決定。
介護事業の事業譲渡による売却を優先させた理由は以下の通り
・2事業一括での買収も検討してくださっていた大手介護会社から、条件の良いオファーが既にあったこと(介護事業のみの事業譲渡なら即決できる旨のオファー)
・銀行とも協議し、介護事業を好条件で先行売却後、リスケ後の返済計画に同意を得たこと
まずは、計画の通り、介護事業を好条件で売却。
残された運送事業に経営資源を集中させ、翌期、運送事業のみを磨けあげて、運送事業のみを行う決算で、C社の黒字を確保。
その翌期(つまり、介護事業を売却した翌々期)に、運送事業のみのC社の株式譲渡を実行。
現状の利益水準からするとやや多めの借入金が残っていたが、買い手様のご理解とご助力の結果、連帯保証を切り替えていただき、当初の目的である、負債から開放とご引退を実現。
介護事業買い手①の概要・状況とニーズ
買い手は、C社とは別エリアで事業を行う大手介護会社。
予てよりエリアの拡大を目指しており、C社介護事業の立地エリアが、この買い手にとってのエリア拡大の最優先地域であった。
C社介護事業の買収は、当該エリア進出の大きな足がかりとなり、現在の当該エリアで規模拡大中。
運送会社買い手②の概要・状況とニーズ
買い手は、同種の運送会社を別エリアで運営していた。
予てよりエリアの拡大を目指しており、C社運送事業の立地エリアが、この買い手にとってのエリア拡大の候補地域の一つであった。
取引先、車庫、整備設備、人員、トラックなどの車両を別地域においてゼロベースで立ち上げるに比べて、やや肩代わりする借入は大きかったものの、時短の重要性を鑑み、C社買収を決断。
必要な人材を一気に送り込み、早々の事業再建に着手
参考情報(規模、数値など)
売り手C社の売上は、4億円。借入額は、2.5億。1回目の介護の売却で、一部返済し、借入残高1.5億(買い手側で連帯保証承継)でC社一括売却。
運送事業のみ残ったC社の売却価格は、約3,000万円。
ポイント!
・全く別事業を営む法人を、事業を整理(撤退)することなく別々で売却
・スタートしてから、3年弱。売り手様の理解力と忍耐力
・買い手の寛容で柔軟な姿勢、取得後の素早い事業再建策の実施
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