赤字会社を合併する際、合併比率はどのように計算されるか
- M&A全般
赤字会社の合併比率はゼロ?
「赤字会社を合併したいのだけれど、このとき合併比率は
どうなるのでしょうか?」
以前、このような質問をいただいたことがあります。
そもそも合併比率とは、合併のときに対価として被合併会社の株主に
与えられる合併会社株式の割合のことで、これは非合併会社と
合併会社の株価に基づいて算出されます。
例えば合併比率が2:1であれば、被合併会社の2株に対して
合併会社の1株といった具合の計算です。
ところが、ここで問題になるのが赤字会社における合併比率になります。
赤字会社の株価の算定はゼロ(実際はマイナス)となりますので、
赤字会社に対する対価はゼロです。
そのため、赤字会社を被合併会社とした合併比率は
ゼロとなってしまいます。
このような合併比率がゼロとなる合併は無対価合併といい、
非適格合併と呼ばれます。
適格合併と非適格合併の違い
ここで問題になるのは、現在の税制では非適格合併の場合に
不利な点が多いということです。
赤字会社の非適格合併を行なった場合、
非合併会社の持つ資産の含み益に課税が行われてしまいます。
さらに、赤字会社の持つメリットであるはずの繰越欠損金の引き継ぎも
認められなくなります。
そのため、非適格合併ではなく、適格合併にする必要があるのです。
そこで、赤字会社の合併比率をゼロにせず、1000:1のような
合併比率に設定して適格合併とする方法がとられます。
合併比率を調整することで、赤字会社を合併する
メリットを活かした節税が可能となります。
ただしこの場合、合併比率に基づいて与えられる合併会社の株式は
贈与となり、贈与税がかかるという点には注意が必要です。