赤字会社と黒字会社を合併するメリットとは?
- M&A全般
赤字会社と黒字会社の合併におけるメリット
M&Aにおいて、買い手を探している赤字会社は少なくありません。
しかし、「利益の上がる黒字会社との合併ならともかく、赤字会社を合併するメリットがあるの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
確かにどんなシナジー効果が期待できる相手でも、負債を抱える赤字会社との合併は黒字会社に比べてリスクがあります。
しかし、自社が黒字会社である場合においては、赤字会社との合併には大きなメリットもあるのです。
赤字会社と黒字会社を合併するメリットとは一体どのようなものでしょうか。
赤字会社と黒字会社を合併する最大のメリットは、合併により繰越欠損金で節税ができるという点です。
法人税には、会社が赤字損失を出した場合、繰越欠損金として翌年から7年間の黒字と通算して法人税を計算できる制度があります。
この繰越欠損金を持つ赤字会社と合併した場合、繰越欠損金を引き継ぐことで、黒字会社の黒字を抑えて節税することが可能となるのです。
負債を抱える赤字会社は売却額も低く、合併による節税を活用すれば低リスクで優良なM&Aを行なうことが可能となります。
赤字会社と黒字会社を合併するさいの注意点
この繰越欠損金による節税を期待した合併で注意しなければならないのは、適格合併でなければならないという点です。
これは節税目的で赤字会社と黒字会社の合併を防ぐため、適格合併以外の合併では繰越欠損金が使えないためです。
適格合併とは、合併される会社の業務を合併後の会社が引き継ぐために行うとみなされる合併のことで、M&Aのように50%以上他社の株式を取得して合併する場合には主に次のような条件があります。
1.合併される会社の80%の従業員を合併後も継続雇用すること。
2.合併される会社の事業を合併後に停止したり、合併後の新事業の規模が
旧事業規模の5倍以上にならないこと。
これらはM&A本来の目的であるシナジー効果を狙った合併であれば、満たすことが可能な条件です。
赤字会社と黒字会社の合併によるメリットを活かすためにも、これらの点に注意して合併を進めることが重要です。