事業譲渡と会社分割、どちらを選択すべきでしょうか?
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事業譲渡と会社分割の違い
みなさんは「事業譲渡」と「会社分割」、この2つの単語をご存知でしょうか。
ともに会社や事業の買収において使われ、ある事業が他社へ移転するというものですが、実はそれぞれに違った特徴を持っています。
それでは、事業譲渡と会社分割の違いとはどのようなものでしょうか。
1つ目の違いは対価です。
事業譲渡は事業の売買のため金銭取引ですが、会社分割は組織再編のため対価が株式などでも良いことになっています。
2つ目の違いは契約・債権関係です。
事業譲渡は引き継ぐ契約や債権、資産を選択して譲渡することができ、引受先で再度契約を結びます。
一方、会社分割はその事業に関係する契約を負債も含めてすべて引き継ぐことになり、選択することはできません。
3つ目の違いは雇用関係です。
事業譲渡では他の契約と同じく雇用契約も再度結び直す必要がありますが、会社分割では雇用契約もそのまま引き継ぐことができるため、再度雇用契約をする必要はありません。
4つ目の違いは譲渡に対する消費税です。
事業譲渡は売買であるため譲渡された課税対象と金額に応じて消費税がかかりますが、会社分割では譲渡に対する消費税はありません。
このように、事業譲渡と会社分割では様々な違いが存在するのです。
事業譲渡と会社分割の選択について
では、買収において事業譲渡と会社分割のどちらを選ぶべきでしょうか。
これは買収先の状態と規模によって変わるため、ケースバイケースとなります。
規模が小さい事業における場合は、事業譲渡による買収のほうが速やかに行なうことができます。
しかし逆に、
買収事業の規模が大きい場合には、雇用契約や債権の許諾などが煩雑になるため、会社分割のほうがスムーズに進めることができます。
また、会社分割では権利をすべて承継できる代わりに、万一、簿外債務などが判明した際は、その債務も引き継いでしまう欠点があります。
事業譲渡では譲渡されない簿外債務などを引き継ぐことがありませんので、前の事業に負債や簿外債務のリスクがある場合は事業譲渡を選択するべきでしょう。