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銀行が納得する経営改善計画書の書き方とは?ポイント8項目を完全解説!

すでに金融円滑化法は期限切れになっていますが、この法律が施行された後金融機関が中小企業に経営改善計画書の作成と提出が求められることが一般的となりました。さらに、今後は経営改善計画書の現実性、達成度が継続的に評価されることで、決算評価とは別の、もう一つの企業評価となります。

 

そこで、企業側として気になるのは「いったい、どれくらいの内容で、ボリュームの計画書を提出すれば良いのだろう?」ということです。そこで今回、中小企業再生支援協議会の基本書式サンプルより、経営改善計画書に必要とされる8項目の解説をしていきます。

 

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1.ビジネスフローの説明

銀行が納得する経営改善計画書の書き方とは?ポイント8項目を完全解説!

 

図表を使う、文面で説明をする等の体裁は問われませんが自社のビジネスモデルを説明する内容が必要です。

 

特に読む側が分かるように表現しなくてはならないのは

 

  • 顧客が誰なのか?
  • どのような商品・サービスを、どのように提供しているか?
  • どこが儲かっているのか、どこがネックになっているのか?
  • どんな業務にどれほどの人員を投下しているのか?
  • 売上・仕入はどのように発生し、回収(支払)されているのか?

 

といったあたりです。これらはわざわざ記載しなくとも金融機関は知っているのに、今更・・と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、昔と異なり、融資担当者が融資先を訪問し、じっくりと企業を知る時間がなくなっていること、評価は部店だけでなく、資料・書類のみで判断する本部が主導するようになっていることから、改めて必要となっています。

 

「銀行員はすぐに担当が変わってしまうから、その度に説明しなおさないと・・」という不満を、今後は「これだけ提出しておけば、うちの会社のことは分かるでしょう?」とすることで、逆に認めてもらうためのきっかけにもなります。

2.企業集団の状況

「企業集団の状況」という言葉だけでは分かりにくいですが、言葉を変えると

 

・グループ会社や親会社、子会社との関係、資本、貸借、売買、委託(受託)、保証の関係について

・役員及びその親族との資本、貸借、売買、保証関係について、後継者の存在について

 

といったポイントをまとめることであり、ある意味「経営責任の範囲、所在の確認」です。この項目は、確かに書かなくてはならないのですが、時に金融機関から追加担保や追加保証人の要求原因にもなってしまうため、責任と節度のバランスを十分に考慮するべきです。

 

また、現在政府レベルで「保証人や担保の今後のあり方について」協議・検討が進んでいるため、この項目は無理やり細かいところまで掘り起こして書くというよりは現状で明らかな範囲を、シンプルに分かりやすく挙げておく程度でよいのでしょう。

3.企業概要

企業の歴史、沿革

既に金融機関が十分に知っている場合には省略可能です。

財務内容及び問題点

財務内容の分析や問題点ですが、最低でも

 

・債務償還年数

・債務超過解消年数(債務超過の場合)

・キャッシュフロー(ここでは当期利益+減価償却)の推移

・財務指標上の改善が必要な項目

 

について触れておきます。

業績推移

決算書は試算表を常に提出している場合には簡単なもので大丈夫です。

銀行取引状況

借入一覧は必須ですが、丁寧にいくのなら預金や為替(振込等)の取引についても記載します。

現状と課題認識

・現状の決算内容をどのように捉えるか

・今後の発展のために、今改善するべき課題は何か

 

を明記します。重要です。

改善計画策定方針

現状と課題認識の課題をベースに、改善計画にあたっての基本方針を記します。この時点では、詳細の項目ではなく、方向性です。

 

例えば、「5年以内に本業の利益で債務超過を解消する」「〇〇事業は撤退、売上は○億円程度になるが営業利益は黒字を回復する」といった具合です。

4.計数計画(事業計画、損益計画)

大半の場合、損益計算書の将来3年~10年に渡る計画を作成した上で、それによって貸借対照表の主要項目や財務指標がどのように変動していくのかまとめます。金融庁や金融機関の定める数値に収めていけるのかどうかが気になるものですが、実現不可能な目標計画をたてることに意味はありません。

 

一方、企業は収益組織である以上、ある程度の利益がでなければ存在理由がなくなってしまいます。まずは「最低限会社の存続に必要なモデル」=一定の黒字が出る損益モデル、と「金融機関の指針をも満たすであろうモデル」=理想的なモデルとの双方を作成し、見比べるところから始めるべきです。

 

が、金融機関(金融庁)の求める財務指標も、通り一辺倒な訳ではありません。まずは、自社の達成可能な数値を優先していただいて構いません。

5.具体的施策

計数計画の実現のために何を行うのかをまとめます。計数計画のコメントや注釈として記すのもやり方の一つでしょう。

 

例えば、「店舗の拡張(撤退、売却)」「取扱商品の変更による粗利率の向上」「取引先の拡大(縮小、条件の変更)」「社員の増員(減員)」「事務所の移転」といった内容です。

6.実施計画

「具体的施策」で挙がった項目の実現のための行動計画を5W1Hで記します。この行動計画が達成されれば、結果として計数計画も達成されるように連動性をもたせることが最重要ポイントになります。

7.資金実績・資金計画

実績については、過去1年分(もしくは前期分)を提出できればベターです。資金繰り表でも問題ありません。過去数年度に渡るときは、キャッシュフロー計算書(間接法)がよいでしょう。大きな金額の増減に対しては、コメントをつけます。

 

計画についても、資金繰り表がもっとも説明しやすいものになりますが最低でも6ヶ月分、できれば12ヶ月分作成するべきです。弊社では、最大で60ヶ月分作成しています。

 

何でそこまで?とご質問をいただくことは多いのですが、それは「今の計画での利益・借入返済を続けていって、現預金は本当に増えていくのか」を確認するためには、このくらいは必要と考えているためです。

 

頑張って売上を拡大していく計画にすると、資金が逆に追いつかなくなったり、利益を改善していくことで累積損失がなくなった後、その後税金負担が発生したり、将来の役員・社員の退職金をプールできているか、確認したりするためには、今からどれだけ資金をプールしていくべきか考えていかなくては、それは計画と呼べるような代物ではないのです。

8.返済計画

ここまでの計画に記載された内容を前提として、「このように改善していくので、返済できる金額は〇〇になります」と説明する項目です。重ね重ね、「いくら返済するために、いくら利益を出す」ではなく「ここまでは頑張れるが、この場合にいくらまでの返済になる」という考え方に基づいて下さい。

 

また、将来に及ぶ納付税金の額や人件費(退職金)の変動減価償却の変化によるキャッシュフローの変動を十分考慮して下さい。

 

以上が、経営改善計画書に必要とされる、8項目の概略となります。

 

では次に、「経営改善計画書は、どのくらいのボリュームでつくる?」についての解説していきます。

ボリュームはどれくらいになるのか?

1.ビジネスフローの説明

2.企業集団の状況

3.企業概要

4.計数計画

5.具体的施策

6.実施計画

7.資金実績・資金計画

8.返済計画

 

は、概ね各1枚以内でまとめて大丈夫です。表紙や目次、挨拶を入れても10枚程度でしょうか。他、アピールポイント(特に商品やサービスの説明)や外部要因のまとめ(SWOT分析等をしてもよいでしょう)等を加えた場合には、それだけ増えてもOKですし、ある程度まとまった内容であれば減ることもあるでしょう。

 

どのみち、数十枚も記すことは、自ら必要と思って行う場合以外は必要ありません。一方、著名なコンサル等が、経営計画は1枚でと、ご教授されることもありますし、私が銀行員の時には、数百枚という分厚いボリュームで提出された企業もあります。

 

どれも、間違いとはいえません。しかし、こと「金融機関に提出する」経営改善計画書であるのならば数枚~20枚が基本的なボリュームではないのかと考えます。その上で、「1枚の提出でよい」のなったならば、素晴らしいことです。

 

要するに、金融機関が企業を信じるに足る内容であることが重要なのであってそのための最低限の内容を一通り用意すれば、最大で20枚程度になるのです。それよりも少なくて済む、ということは、それだけ「既に金融機関があなたの会社を知っている」「既に金融機関とあなたの会社の間で大事なポイントが共有されており説明し直す必要がなくなっている」ということです。だから、少なくて済む、それに懸念がないということならば少ない分には問題はありませんが、逆に過大な量となる場合というのは、何が大事なのかも分からなくなってしまいます。

 

ひどいものになると、コンサルが作成したといって、結局業界分析といって中小企業白書や各種調査団体の調査内容をコピーしただけだったりします。そんなものが数十ページもあっても、紙の無駄です。社長が本気でそれを書いたのか、という認識を持たれてしまい、逆に問題になりますので、お気をつけください。

 

私も、先の例のお客さんの計画書は受理を拒否してしまいました。申し訳ないとは思ったのですが、実際その社長様は、自社の計画書を何も読んではおらず、内容も知らず、ただ200万円コンサルに支払って作成(数ページだけ損益計画、他はコピー)してもらっただけなのですから。そのまま稟議してしまったら、きっと逆に評価を落としてしまったことでしょう。

 

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追加するべき内容は?

さて、改めて、追加するべき内容ですが、結論としては

 

  1. 設備投資計画
  2. 貸借対照表の将来計画

 

の二点は、必ず追加するべきです。特に貸借対照表の場合は、総資産や売上が2億円以下になると大きな意味を失うことも事実ですが、それでも「現預金」「純資産」については将来的な計画値を持たないと、真の計画足りえません。

設備投資計画

せっかく絵に書いた餅ではない計画を作り損益計画を何とか達成できている企業が、「それでも、資金繰りが楽にならない」「資金繰り計画は全く目標通りにならない」というご相談を受けることがあります。

 

たまったものではありません…、が、多くは設備投資計画を過小に見積もる、もしくは全く想定せずに予算ゼロにしてしまったことが要因となっています。

 

これは忘れていたというよりは、足元の利益をできるだけ出すために、投資をほとんど計上できなかったとも言えるのですが、本来、資産は、将来の売上・利益を生むためのツールです。十分な資産を持たずに、将来的に売上を残し続けることが不可能であることをきちんと確認しなくてはなりません。

 

一方金融機関や融資担当者は貸したお金は返してもらうのが仕事であり、本分だが、企業の将来の売上・利益をつくるために必要な資産や、そのために必要な投資の金額・内容は分かりません。分からないのだから、必要な金額も理解できません。しかし、それは当たり前。あなたの会社の売上の構造は、あなたの方が知っていて当たり前なのですから。

 

だからこそ、この設備投資計画を別に用意し、明示して「必要な投資であること」「その結果として、長期的に売上・利益がより大きく確保できること」「その投資がないと、将来的な売上が確保できなくなること」を金融機関に説明し、了解を得るのです。

貸借対照表の将来計画

上記の通り、ある程度の規模でない企業まで細かく貸借対照表は作成する必要はないとも言えますが、それでも

 

  • 現預金水準が、この計画でどう推移していくのか
  • 純資産がどうなっていくのか債務超過だとしたら、いつまでに解消可能か

 

この二点は絶対に必要です。さらに言えば、この二点の確認のために計画書を作っているといってもよいのです。何しろ、計画通りにできたとしても、その計画通りに実行した結果が資金ショートになるとしたら、あまりにも救いがないですよね?

「倒産計画」になってはいないか?

無理に売上を上げる計画をつくる

 

  • 損益上は金融機関も納得する内容で、返済もある程度はできる
  • しかし、売上が上がる=必要な運転資金が増える
  • 実は、長期的に少しずつ現預金が減る計画になっており、作成者が気づいてもいない
  • 数年後には資金ショートが「確実に訪れる」

 

最近、私はこのような内容になっている計画をよく拝見します。確実に、貸借対照表の計画がない、もしくは気にされていない計画で発生しています。

 

経営を改善する計画、なのですから、

 

  • 現預金水準が適正値迄増えていく
  • 純資産が最低でもプラスになる

 

この二点はあらゆる会社共通の改善ポイントであり、社長自身の安心に、必ず繋がるポイントでもありますから、絶対に確認をお願いしたいと思います。エクステンドは、中小企業を対象とした経営相談、事業再生、M&Aなどを行っている財務コンサルタントです。国が認める経営革新等支援機関(認定支援機関)でもあり、中小企業の経営改善計画書の作成に数多く携わっています。経営改善計画書の作成をお考えの際には、ぜひエクステンドまでご相談ください。

 

とはいえ経営改善計画を依頼することに不安を感じる方も多いでしょう。エクステンドでは、無料の経営相談も承っておりますので、まずは下記バナーの「無料相談」より、財務状態や経営改善計画書の作成方法等についてご相談ください。忙しい経営者の貴重なお時間をいただいていることを念頭にできるだけ実践的なアドバイスを行います。

この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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