日本政策金融公庫の「資本性劣後ローン」とは?概要やデメリットを解説!
近年耳にすることのある「資本性ローン」「資本性劣後ローン」とは、どのようなローンなのでしょうか。資本性ローンの概要に加え、日本政策金融公庫で利用できるプランやメリット・デメリット、民間の銀行でも利用可能なのかも知っておきたいところです。
ここでは、資本性劣後ローンの概要と日本政策金融公庫で利用できる資本性ローンの種類、メリットやデメリットについてわかりやすく解説しています。資金繰りに困った場合の対処法についても紹介しており、新たに融資を検討する際の参考として役立つ内容となっています。
目次
資本性ローンとは
まずは、資本性ローンの基本的な概要について見ていきましょう。
資本性の高い借入金のこと
資本性ローンとは、通常のローン商品よりも資本性の高いローンのことです。「劣後ローン」「資本性劣後ローン」「メザニンローン」などと呼ばれることもありますが、いずれも「資本性の高いローン」という意味合いで使われます。
資本性ローンを利用した借入れは「資本性借入金」と呼ばれ、借入金でありながら、出資を受けて資本金が厚くなったような、株式に近い性質を持った借入金として扱われます。
借入金と出資金の中間的な立ち位置のローン
資本性ローンの具体的な特徴として、出資金に近い借入金であるため、返済の優先順位が低い点が挙げられます。資本性ローンの返済方法は期限までに一括返済となり、月々の返済金は発生しないのが一般的です。
なお、資本性ローンと同じ意味で使われるメザニンローンの「メザニン(mezzanine)」は、英語で「中二階」といった意味を持つ言葉です。借入金と出資金の中間的な立ち位置のローン、という意味合いが含まれています。劣後ローンの「劣後」は「返済の優先順位が劣る」という意味で使われる表現です。
主に政府系金融機関で取り扱っている
資本性ローンは、日本政策金融公庫や日本政策投資銀行など、主に政府系の金融機関がメインとして取り扱っています。民間の金融機関での取り扱いはゼロではないものの、ホームページなどで概要を記載したりはしておらず、顧客への個別支援といった形で設計されることが多いようです。
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資本性ローンのメリット・デメリット
資本性ローンのメリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。
資本性ローンのメリット
資本性ローンのメリットとしては、月々の返済が発生せず、期間中は金利のみの返済が可能な点が挙げられます。元本は期間後の一括返済となるのが一般的です。
「売上が入金される前に返済に必要な資金を取っておかなくては」といった資金繰りの煩わしさから解放され、事業の立て直しに注力することができます。また、資本性ローンは借入金でありながら、融資審査の際には資本性ローンを資本金に含めることが可能です。
そのため、資本性ローンを組むことで通常融資の審査が通りやすくなるメリットもあります。資本性ローンは主にベンチャー企業や新型コロナウイルス、震災による復興を目指す企業などを対象としたプランが多く、民間の銀行から融資を受けるのが難しい企業でも申請できる点もメリットとなるでしょう。
資本性ローンのデメリット
色々とメリットの多い資本性ローンですが、いくつかのデメリットも存在します。資本性ローンは融資を受ける側にとってはとてもありがたいローンですが、融資する側にとっては回収の見込みが低い、リスクの高いローンであるといえます。そのため、政府系金融機関で利用できる融資の中では比較的利率が高めとなっている点が挙げられるでしょう。
また、利息が高くなる理由として、元本の返済方法が期間後の一括返済である点も影響しています。通常の融資であれば、月々の返済時に利息と元本の両方を分割で返済していくため、元本が減った分だけ利息も少なくなっていくものです。しかし、資本性ローンでは期間後に一括返済するまで元本が減ることがないため、比例して利息も高くなってしまいます。
日本政策金融公庫の資本性劣後ローンを利用する方法
ここでは、日本政策金融公庫で申請できる主な資本性劣後ローンの概要と、利用する方法について解説します。
日本政策金融公庫の資本性劣後ローン概要
日本政策金融公庫では2023年4月現在、主に以下のような資本性ローンへ申請が可能となっています。
挑戦支援資本強化特別貸付
スタートアップや新規事業展開、事業再生などに取り組む企業へ実施している資本性ローンです。申請には税務申告を1年以上行っていること、地域の経済活性化を推進している事業であること、新規開業資金や企業再建資金といった融資制度の対象となることなどの要件を満たす必要があります。
申請が通った場合、対象となる融資制度で定めた運転資金や設備資金として、上限7,200万円までの融資を受けることが可能です。
新規分野等挑戦型資本性貸付
農林水産物の生産、開発に関わる事業のうち、チャレンジ性が高いとみなされる事業を対象にした資本性ローンです。申請が通れば、1 億円またはみなし自己資本比率が40%に達するのに必要な額のいずれか低い方の金額で融資が受けられます。
新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付
スタートアップや事業再生に取り組む企業のうち、新型コロナウイルス感染症の影響を受けたとみなされる企業が申請できる資本性ローンです。融資限度額は7,200万円となり、融資後は毎月利息のみ支払いの期限一括返済となります。
それぞれの資本性ローンについてさらに詳しく知りたい場合は、日本政策金融公庫のホームページを確認してみましょう。
資本性ローン申請時には事業計画書などの提出が必須となる
日本政策金融公庫の資本性ローンへ申請する際、事業計画書や資金繰り表、財産目録や経営改善計画など、様々な書類を準備する必要があります。
全て自力で準備することは可能ではありますが、日々の業務に追われる中で中長期における見通しや資金繰り、金融機関を納得させられる事業改善案などを提示するのはハードルの高い作業となるでしょう。
しかし、事業計画書や経営改善計画書など、手間と時間がかかるものほど、融資審査時には重要となります。現状打破できる革新的な改善案や、将来性が期待できる事業計画書をつくることは、資本性ローン以外の融資を利用する際にも重要視されることとなるでしょう。
資本性劣後ローン申請を通したいなら専門家へ相談するのがおすすめ
資本性劣後ローンの申請をスムーズに行い、審査に通過して他の融資も勝ち取り、経営再建を実現させるためには、データに基づいた計画書づくりが欠かせません。
自分1人で準備することに不安や迷いがある場合は、資金調達が上手なコンサルタントを利用するのも1つの方法です。財務コンサルティングに強みのあるエクステンドの無料相談を利用して、一度問い合わせてみることをおすすめします。下記バナーの「無料相談」よりお問合せ下さい。相談内容に「ホームページの資本制劣後ローンのページを見て」と記載していただくとスムーズです。
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まとめ
資本性ローン(劣後ローン)とは、返済の優先順位が低く、出資金に近い形の融資の1つです。政府系金融機関で主に実施されており、ベンチャー企業や震災の影響を受けて経営再建を図る企業などが対象となっています。
資本性ローンは期間中の返済が必要なく、期間後の一括返済となるうえに、融資後に別の融資で審査を受ける際、資本性ローンを資本金に含めることができるといったメリットがあります。利用する要件を満たしている場合は、必要に応じて専門家のサポートを受けながら、資本性ローンの利用を検討してみるとよいでしょう。
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