問題の先送りは事業存続に対する機会損失を生む
先日、とある経営者と「経営者の判断基準って何?」という話になりました。その社長は、経営の判断基準をSimple&Profitable経営と定義されている様です。
そして、この定義から外れている状態を事業体の5大疾病と謳っていることを教えて頂きました。
- 分散症候群
- 安売り症候群
- 財務無策症候群
- 前のめり症候群
- お人よし症候群
と言った内容です。小生も経営者の端くれで、経営に関する書物を読むのですが、中々腹に落ちる書籍が見やたらず、この話を聞いて“なるほど”と思ったものです。
本日は久しぶりに「事業再生」について語ってみたいと思います。
金融円滑化法以来、国の中小企業施策の一環であるこれまでの「事業再生」は、その担い手である専門家の特性から「財務の健全化」が中心となってきました。(現在もなっています)
当然、財務を健全化させることは重要ではありますが、財務は言い換えれば経営(事業)の結果を反映したものであり、経営(事業)そのものに潜む問題点に切り込み、手直しをしなければ、再び時間の経過と共に窮地に陥ることになり、「問題の先送り」になっていくのです。
事実、ある調査会社の発表によると8年連続で企業倒産が減少し、バブル期並みの低水準になっているようですが、これはあくまで金融機関の柔軟な対応が要因になっているわけで、再生するというこのことについてはその問題が先送りされているのです。
この事象で考えなければならないことは、問題が先送りされ徒に時間が経過していく中で現経営者もその分年齢をおとりになり、気力・体力も落ちていくことから「事業再生」に対する時間と意欲がなくなっていくことが考えられます。
「問題の先送り」は事業存続に対する機会損失を生むことから、どうしても防いでいく必要があります。
現状の中小企業再生現場では、会計(数字的)アプローチが中心になって取り組んでいるケースが多いわけですが、会社組織は企画部・製造部・販売部・経理部といった構成要素から有機的な繋がりを持って成立っているシステムです。
従って、部分を最適化しても全体を最適化したことにはならないのです。事業再生するということは確かに厳しい道のりであることは言うまでもありません。それが故に、事業再生する第一歩として会社を俯瞰してみては如何でしょうか?
執筆:沖原 厚則