山中 肇
Hajime Yamanaka
ファイナンシャル・プランナー(FP)2級
経歴
愛知県第二地方銀行 管理職
専門分野もしくは担当
金融機関対応全般(どんな些細な事でも一緒に考え一緒に行動します。)
主な実績
・金融機関調整
CF以上の返済を履行していた先に対し、金融機関の見直しを行い、CF以内の返済額への減額対応し実現。
・資金調達
適正な金額・期間・調達方法のアドバイスを行い資金調達を実施。
・リスケ対応
改善計画書を作成し金融機関に一緒に訪問しリスケ交渉の支援を実施し毎月の返済額の見直しを行い、予実管理まで実施。
・サービサー対応
サービサーとの交渉に同席し、円滑な交渉をサポート。
・金融機関対応以外に租税関係の交渉同席、取引先への支払延期交渉同席等、些細な事から大きな事まで対応しております。
Q. 役員貸付金のデメリットについて教えていただけますか?
貸借対照表上では、短期貸付金又は長期貸付金と記載されますので、内訳書を確認しないと判別が出来ませんが、その内訳書を金融機関は必ず確認します。
金融機関はどの様な理由があろうとも役員貸付金を社長が私的に使用しているとみなしております。
さらに役員貸付金の期間が数期にわたっている場合は、返済見込みがないと判断され、信用格付けにおいて不良資産と判断され、融資も難しくなるなど金融機関からの印象は非常に悪いと言われております。
また役員貸付金は利息が発生する事から、会社側からすれば決算書に受取利息の計上をする必要があり、利益の増加に伴い法人税等の額が増加する場合がありますので注意をしてください。
Q. 保証協会の代位弁済を行なったら、社外的に情報が出回るのでしょうか?
代位弁済を行っても、金融機関内部においては、事故扱いという呼ばれ方をしますが、それと社外的に知られる事は全く別の話しです。
金融機関様には守秘義務があり、それが他に知られる事はないかと思います。
但し次に述べる場合には、代弁を受けた事がわかる場合があります。
1. 決算書を見た場合:債権者が銀行から信用保証協会に変りますので、決算書の付属明細の借入金及び支払利子の内訳書が金融機関名から信用保証協会名に変更となった場合。
2. 不動産担保が入っている場合:根抵当権の確定、銀行が担保権者であった場合の保証協会への根抵当権の移転の場合(不動産登記簿になんらかの痕跡がのこります。)つまり、金融機関様等から情報が出回る可能性はないとは思いますが、見るべき書類を、知識のある人が見れば代位弁済を受けた事がわかりますので、代位弁済を行う前にリスクは必ず確認していただく事をお薦めします。
Q. 建築業を営んでいますが、請負契約書を担保に融資を受ける事は可能でしょうか?
請負契約書を基に銀行融資の検討は可能だと思います。
この様な融資が紐付き融資とよばれるものです。請負契約を担保に取る事はないと思いますが、最低限代金回収を融資を受ける銀行口座に指定する事が必要になります。
つまり請負契約書は基本、担保にならない事から、あくまで返済の一つの根拠になるだけで、銀行からすれば短期の無担保融資には変わりありませんので、御社の信用が必要だと思いますので、一度メイン銀行様にご相談される事をお薦めします。
Q. 連帯保証と連帯債務の違いを教えてください。
連帯保証と連帯債務は、複数の債務者が同一の内容の債務を負担し、債務残高について弁済する義務を負うという点では類似していますが、連帯保証は、主債務者に付随する債務であるのに対し、連帯債務は連帯債務者間では主従の関係がないという違いがあります。
この為、回収を行う場合は連帯債務では各連帯債務者に全額請求する事ができ、連帯保証でも、普通保証と違い催告の抗弁権や検索の抗弁権、分別の利益が無い事から、主債務者と同様に連帯保証人に請求する事ができるという事から、回収面での違いはありません。
一方管理面では、連帯債務は、時効の中断、債務が存在しなくなる場合、債権譲渡などでは、債務者全員を対象に個別に管理する必要があるが、連帯保証では、時効の中断などを主債務者に行えばよく、主債務主体の管理である点が異なります。
Q. 銀行は決算書のどの部分をよく見ているのでしょうか?
私の前職は銀行に勤めておりましたので、当時どの部分を見ていたかお話しします。
まずは損益計算書についてです。
損益計算書には営業利益、経常利益、当期利益と3種類の利益があります。営業利益については、本業の利益、経常利益については、支払利息等の支払後の利益、当期利益は税引き後の利益が計上されています。
よく当期利益が黒字であればいいのじゃないかと思われる方もあるかと思いますが、当期利益は特別損益が計上されておりますので、一過性の赤字、黒字が隠れております。銀行は決算書をいただいて、一過性の有無の判断をしておりますので、当期利益は重視しておりません。
一番重視するのは、経常利益です。経常利益は毎期経常的に発生する利益であり、しかも支払利息を払ったあとの利益ですので、ここを一番重視して見ておりました。
次に貸借対照表についてです。
貸借対照表も損益計算書同様、実質の数値にて評価し①純資産②借入金③その他勘定の順で見ています。
資産については、赤字が続いて資本金を食いつぶした状態を意味し、借入金については借入先、借入の残高が適正化見ています。
その他については、実質とかけ離れていないかを見ています。今回決算書の見る部分を損益計算書、貸借対照表に分けて話しましたが、どちらにしても全て実質でみている事だけは覚えておいてください。