実際の事例集

お客様が抱えていた課題・要望
「資金繰りが厳しい」との相談。6期連続で毎期1,000万円以上の赤字を計上し、債務超過は8,000万円。自宅を担保に融資を受け続けたが、その結果、借入総額が1億2,000万円にまで膨らみ、さらに親族やノンバンクからの借入、クレジットカードのキャッシングを用いて資金繰りを行い、返済額を削減するリスケジュールを実施しても、赤字が続く限り経営の立て直しは困難な状況。
事業モデルにも課題があり、新聞折込チラシ印刷の仕事が主力である一方、競争が激しく利益率が低い構造。また、収益基盤が脆弱で、長期的な安定が見込めない状況。このような経営課題を抱えた中で、会社存続を目指し、エクステンドに事業再生の支援依頼。
具体的な相談内容
- 資金繰りの悪化:6期連続赤字により現金不足が深刻化。
- 多額の負債:債務超過額は8,000万円、借入総額は1億2,000万円に達していた。
- 返済の負担:月々200万円の返済負担が経営を圧迫。
- 外部資金依存:親族からの借入、ノンバンク、クレジットカードのキャッシングによる追加融資。
- 利益率の低下:競争の激しい印刷業界で薄利多売モデルから抜け出せていない。
- 収益構造の脆弱性:顧客が不動産仲介業者に偏り、多角的な収益基盤が築けていなかった。
- 経営体制の問題:どんぶり勘定の経理管理と不明確な利益構造により、収益性が把握できていない。
- 会社存続への危機感:これ以上の改善策が見つからず、存続を危ぶむ状況。
ご相談企業様負債状況
- 債務超過:8,000万円
- 銀行借入:1億2,000万円(5つの金融機関)
- 親族からの借入:500万円
- ノンバンク借入:800万円
- クレジットカードのキャッシング:300万円
ご相談企業様情報
業種 |
: |
印刷・広告業 |
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年商 |
: |
3億円 |
業績 |
: |
6期連続の1,000万円以上の赤字 |
経営状況の問題点
- 薄利多売モデルの競争激化
- どんぶり勘定の経理体制
- 受注から外注費までのコスト管理の欠如
根本的な経営課題
- ビジネスモデルの脆弱性
- 不透明な収支管理
- 新規顧客獲得の仕組み不足
エクステンドの提案

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ビジネスモデルの再構築(価格訴求型+スケジュール遵守) |
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「競争の激しい印刷業界で生き残るためには、価格競争力が欠かせません。しかし、低価格を実現するだけでは十分ではなく、運営効率を最大化するための明確なルール作りが必要です」と提案。具体的には、ホームページで申込み締切時間や原稿提出期限を明示し、期限を守れない場合は対応を拒否、もしくはペナルティ料金を課す仕組みを導入することを勧奨。また、印刷物を「B4両面3色印刷」に特化させ、作業効率を高め、薄利でも利益を確保できる体制を構築する方針を示し、顧客との取り決めを厳格にしながら効率を追求することで、低価格と収益性を両立できるモデルを提案。
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外注費削減と収支管理の強化 |
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「外注費を抑えることは、利益率改善の大きな鍵となります」と強調。印刷業者との交渉を毎週継続し、1銭単位でコストを見直す努力が必要。この交渉を効果的にするため、受注内容や外注費のデータを細かく記録し、適正価格を判断できる体制を整えることを提案。また、週次で受注表を作成し、請求金額や外注費を逐一チェックする仕組みを導入することで、利益が出ない仕事を排除する仕組みの提案。この取り組みにより、粗利率の25%から28%への改善が見込まれ、実際に年間600万円の利益増加が可能になる。
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新規顧客開拓の仕組み整備(DM戦略) |
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「既存顧客だけに依存するのではなく、新規顧客を継続的に獲得する仕組みを作る必要があります」と提案。その具体策として、不動産仲介業者をターゲットにしたDM戦略を提案。週100通のDMを発送する仕組みを構築。さらに、封筒のデザインやレターの文言を工夫し、開封率を高めるためのテストを繰り返すよう指導。この戦略により、問い合わせ率を向上させ、営業訪問2件につき1件の受注を獲得できる成果を目指しました。取引が始まった後は、メールを中心にやりとりを進め、効率的に長期的な取引関係を維持する体制を整える方針を示しました。
コンサルの成果

粗利率の改善:25% → 28%(年600万円の利益向上)
徹底したコスト管理と効率化を図ることで粗利率を25%から28%に向上させました。この改善は、外注費を1銭単位で見直す取り組みや、利益率の低い仕事を排除する仕組みを導入した結果です。また、印刷物を「B4両面3色印刷」に特化し、作業効率を最大化することでコスト削減を実現しました。この粗利率の3%向上により、年間で600万円の利益増加を達成しました。年商3億円規模の会社において、わずかなパーセンテージの改善が経営に大きな影響を与えることが示されました。

資金繰りの安定化:借入返済計画の見直し
資金繰りを安定させるため、金融機関とのリスケジュール交渉を実施し、当初の月々の返済200万円を17万円に削減しました。その後、さらなる改善を図り、一時的に返済額をゼロにする再交渉を実現しました。また、外部資金調達の選択肢として売掛債権担保融資や個人のカードローンを活用することで、一時的な現金不足を補いました。こうした施策により、経常収支が週間22万円の黒字を確保できる状態へと移行し、資金繰りが安定しました。

新規顧客獲得:DM戦略で定期的な問い合わせ獲得に成功
新規顧客獲得を目指し、DMを活用した営業戦略を導入しました。不動産仲介業者をターゲットに、週に100通のDMを発送し、その内容を継続的に改善しました。封筒デザインや文言の工夫により開封率を向上させ、問い合わせ率は約4〜5%まで改善。これにより、定期的な問い合わせを確保し、実際の訪問営業では2件訪問すれば1件受注という成果を上げました。この戦略は、低コストで効果的な新規顧客開拓手法として同社の成長を支えました。

組織の成長:社員のスキルアップと役割の明確化
経営改善の過程で、社員のスキルアップと組織の成長も大きな成果となりました。特に、元フリーターの社員が受注管理やコスト管理の中心的役割を担うまでに成長し、毎週の受注データを正確に作成・報告する体制が整いました。また、社内会議で経営の課題や改善案を社員自ら提案する文化が根付き、従業員が主体的に業務改善に取り組むようになりました。この組織の成長が経営の透明性を高め、事業再生の基盤をさらに強固なものとしました。
弊社担当者の声より
経営改善は一つひとつの小さな改善の積み重ねが重要。社長と社員の意識改革が事業再生の鍵でした。
コンサルタントの率直な感想
事業再生の成功には、経営者と社員の意識改革が不可欠です。こちらの印刷会社の場合、社長が素直にアドバイスを受け入れたことが再生を大きく後押ししました。再生の鍵は、一つひとつの小さな改善を積み重ねることであり、華々しい「ウルトラC」ではなく、地道な努力が重要です。
社長は、従来のどんぶり経営から脱却し、収支の透明化や業務効率化に積極的に取り組みました。このような姿勢が社員にも良い影響を与え、社員を含むチーム全体が事業再生に向けて一丸となる環境が構築されました。
また、初期の段階では、アドバイスだけでは動かない経営者や社員に対し、時に厳しい態度で行動を促しました。具体的には、DM戦略の実施が滞った際に何度も確認と督促を行い、やり切らせるまで粘り強く関与しました。このような妥協しない姿勢が、経営改善の成果を生む重要な要素です。
事業再生には、「このままでは倒産する」という危機感を共有することが欠かせません。そのため、時には「この会社が潰れる前に全ての手を尽くそう」と説得し、従業員に改善策を実行させました。特に、データ分析や計画策定を徹底し、それに基づく行動を確実に遂行することで成果を上げました。
この経験から、経営者自身が変わること、そして社員がその変化に追随することの重要性を再確認しました。コンサルタントの役割は、計画を立案するだけでなく、現場で行動をやり切らせるまで支援することにあると考えています。この粘り強さが、困難な状況下にある企業の再生において特に求められると感じています。
エクステンドでは、経営者からの無料相談を受け付けています。赤字、損益改善、新たな資金調達を得たいや、返済・資金繰りが厳しいなどのお悩みでしたらお気軽にご相談ください。まずは下記バナーより「無料相談」をご利用ください。
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