銀行から代表者個人の納税証明書を要求された意図とは
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【質問】
「当社の取引銀行より、経営者の納税証明書を提出してもらえば、格付はさらに上がります。」
という依頼がありました。
その銀行には毎月試算表、毎年決算書を提出していますが、代表者の納税、つまり給与は会社の利益とみなすことができるという説明でした。
この場合、納税証明書を提出することによるメリット、デメリットはあるのでしょうか。
また、1度提出したら毎年提出しなければならないのでしょうか?(C様)
【回答】
銀行が融資先企業に付ける「格付」といっても、それは銀行独自の「格付」と、「債務者区分」とで分けられます。ただその2つは連動します。
「債務者区分」とは正常先・要注意先・要管理先・破綻懸念先・実質破綻先・破綻先といった区分、銀行独自の「格付」とは正常先の中でも良い方から1格~6格というように、銀行独自の格付基準において、債務者区分と連動して細かく決められるものです。
確かに、会社の利益を少なくして、その分、代表者への給与として支払っていれば、会社の利益が少ない分、債務者区分・格付においては悪くなってしまいます。
例えば利益が赤字であるが、それは代表者に給与を多く支払いすぎたからであり、今の会社の決算書では要注意先になりかねないため、代表者が給与を多くとっていることを、決算書の勘定科目明細だけでなく代表者個人の納税証明書でも証明することにより、債務者区分を正常先にしようとする場合、質問者様のように銀行から納税証明書を要求されるケースが出てくるでしょう。
納税証明書を提出するメリットはいうまでもなく、このようなケースで債務者区分が上がる材料として使われることですが、デメリットは特に思いつきません。
ただ代表者がその会社からの給与以外の「銀行に知られていない収入手段」があり、納税証明書で収入が会社給与以外にも多くあるということが分かってしまえば、そこを糸口に銀行は、代表者の資産などいろいろ調べてくることもなくはないので、その納税証明書を見て銀行はどう思うだろうか、考えてみましょう。
また納税証明書は、状況から債務者区分を上げるために使う材料として要求されたと思われ、それであれば毎年提出する必要はありません。今回のように債務者区分を上げようと意図が銀行にあるのであれば銀行はまた要求してきますので、銀行から要求されたら提出する、というスタンスでよいです。
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