経営者に個人保証を求めない
最近、社長になって大きく変わった事は、郵便物のやたら多くなったことです。大半は、セールスに近いものですが、先だって中小企業庁より経営者の保証ガイドラインの案内が届きました。
やや忘れられた感のある経営者の保証ガイドラインですが、資産超、債務超過に関わらず承継に役立つ情報なので、前回のメルマガでも少し記載したこの経営者の保証ガイドラインについて述べることとします。
『経営者保証に関するガイドライン』は平成25年に公表されました。
1番のポイントは、経営者個人と法人との関係が明確に区分、分離している場合において「経営者に個人保証を求めない」ことが明示されている点です。
具体的にどういうことでしょうか?
融資の際と、事業承継時に債務整理する際のパターンで見ていきます。
融資を受ける場合
中小企業経営者が、個人保証を提供することなく融資を希望する際に債権者(金融機関)は、経営者に保証を求めないとあります。
そして債権者は代替手法として、企業の経営状況を判断した上でABL(動産・債権担保融資)の融資条件に停止条件や、解除条件付保証契約、もしくは金利の一定の上乗せなどで検討しなさいということです。
ただし、これを活用するには法人と個人の一体性が解消されていることが求められます。
例えば、
法人から経営者に貸し付けの資金流出がないことなどですね。どうしても債権者が、経営者に保証を求めることが止むを得ない場合はその保証の必要性を説明し、適切な保証金額の設定に努めることになっています。
事業承継時における保証債務整理などの場合
債権者は社長の経営責任の在り方を考慮し、手元に残す資産の範囲を決定します。つまり社長が引退した後の生活を配慮しつつ一定期間の生計費や、華美でない不動産などの資産を残すために債務整理を一部実施するのか、もしくは債務免除するのか検討することになります。
ただし債権者も商売ですので、法人または個人の法的整理の配当より、より多くの回収が見込まれることなどあくまで経済的合理性の元に実施されます。
この経営者の『経営者保証に関するガイドライン』の適用を受けるには、それぞれ条件があるものの会社の承継を考えていく上で知っておく情報であることは言うまでもありません。
ご自身が『経営者保証に関するガイドライン』のご活用できるのか?と考えているなら、経験とノウハウのあるエクステンドに、ご相談して頂ければと思います。無料電話相談でもご対応いたします。
執筆:沖原厚則