経営者の最後の大仕事は『後継者の発掘と育成』
エクステンド代表の沖原でございます。私も年齢を考えれば54歳になり、あと6年で還暦です。社長として働けたとしても残り10年位かと思っております。
以前に、中小企業経営者のうち95%の方は自分の代で廃業するのではなく
「何らかの形で引き継ぎたい」
と望んでいるという統計を見たことがあります。私も同じ考えです。
つまり事業承継というのは、経営者にとって『最後の大仕事』なのです。この大仕事は、私自身にもそのまま当てはまり、流れが速いこの時代に、向こう10年の実績を築き、またその先にある自社の発展を見つめると今の行動が本当に正しいのか疑問に思う事もあります。
しかし、経営者が立ち止まってしまうと、会社全体が止まってしまう事を私は痛感しております。立ち止まらないために自分を、会社を、未来を、整理する「自分ひとりの時間」を必ず作っています。
今回は、社内後継者育成について私なりに考えている事をお伝えします。私が実際に行っている内容でもありますので参考にして頂ければ幸いです。
後継者育成は早めに準備を始めるに越したことはないです。ただし、人材育成は杓子定規で計ったように計画的に出来ないところもあります。
見込みのある社員を後継者に据えたい場合は、以下を経験させて、育成していくやり方です。
4つの要点を紹介していきます。
目次
後継者候補を決める
社内で後継者候補となる社員を選定します。複数人で選定し選別していく考えでも構いません。
各部門実務を一通り経験させる(営業、財務、労務等)
各個人で得手、不得手があって当たり前ですが、中小企業の経営者となる場合は、全体を見渡す力が必要なので、一通り経験してもらいます。
ここで自分が牽引していける事業と、ここは得意な人材に任せたほうが良いなど、ある程度俯瞰して会社を見る力をつけてもらうのが理想です。
経営幹部など責任ある地位に就任させ権限を委譲し、重要な意思決定やリーダーシップを発揮する機会を与える。
経営というはその都度、判断に迫られるものです。その経験として、影響の大きな取り組みを任せていきます。最初は私もサポートしますが、基本的に本人の決断と自主性を尊重し、問題解決力も見極められるので、基本、手を出しません。
簡単に解決できる課題よりも、難しい判断を迫られるのが経営者です。中小企業は決断する時間も短く、即決できないといけません。なので、できるだけ多くの権限を最終的に委譲し、経営者としての経験と勘を養ってもらいます。
現経営者による直接指導。指導内容は経営上のノウハウ、業界事情にとどまらず経営理念の引き継ぎまで行います。
経営者にとって一番必要なものは何かと考えますと、『苦境に立たされても諦めない理念を持っているか』に尽きると思います。そうすれば難しい判断に迫られたときに、大きく誤った方向へ舵を切ることは少なくなるはずです。しかし、この理念の継承こそが一番難しいところでもあります。
これは後継者と繰り返し議論を重ねながら、意識的に植え付けていく、というやり方はもちろん必要ですが、最終的には自分のことを横で見てもらい、五感で身に付けてもらうことだと思っています。
そうすることによって、後継者もその理念が自然と身に付き、最終的には社員からも「この人についていけば大丈夫」という安心感を持ってもらえるようになると思っています。
そして後継者自身の発する言葉にも、「説得力」と「重み」が自ずと付いてくるのではないかと考えています。
以上の3つ要点が私が行っている社内後継者育成の手順であり整理した内容でもあります。
ちなみに私の選定基準は、その人物の経験や知識もさることながら、やはり『明るさ』と『運の強さ』などの人間性にも重きを置いています。
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