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時には、銀行の立場から考えてみる

一般的に、どうしたって銀行には否定的な目線になりがちです。

 

「どうして、中小企業への融資をしない?」

「どうして、中小企業の声をもっと聞いてくれない?」

「どうして、融資ができなくなった途端に扱いがゾンザイになるの?」

 

などなど。どうしてこんな不満が世間から起こってしまうのかは本メルマガでもさんざん触れてきたものですから今更なので、たまには元銀行員として銀行側の立場からお話みようかと思います。

今の金利ではリスクのとりようがない?

借りている立場では、0.1%でも金利が安いのがありがたいのですが、銀行の立場でいえば「年数%の金利をもらい、そこから自らのコストを引いたのが利益」ですから、貸出金の1%でも貸倒になれば即刻赤字になるのが銀行の損益です。

 

99%の成功率でも、信じてお金を貸すことに躊躇する、それが銀行。この問題は銀行のビジネスモデルそのものの問題でもあり、いい・悪いの問題ではなく、それをダメと言われれば融資という商品そのものがなくなってしまうでしょう。

正常に取引している企業に顔向けできない

真っ当な銀行員ほど、この点を考えます。再生フェーズにある企業を支援したい、ちょっと無理なお願いだけど個人的な見解としては、どうにか聞いてあげたい…と思っても過剰に再生フェーズの企業に便宜を図ると「頑張って正常返済をしている企業の方が損をする」ことに繋がりかねません。

 

再生フェーズだからといって、悪し様に取扱いわけではなくともそう簡単にノーペナルティー、とはいかないのです。

基本的な企業状況の説明責任は、企業側にある

銀行員が昔に比べて企業のことを知らない・分からないというのは否定できませんが、自社の要点を説明できる社長、というのも増えているとは言えません。

 

所詮銀行は金貸しであって、金融です。モノがどのように生まれ流れ、消費されるのかは経営者の方が知っているのが基本。ですが、良くも悪くも銀行に自社の状態を積極開示し、社長の言葉で状況や方針を説明できる企業は限られます。

仕方がない、とはならないが…

今回3点、銀行の本音、言い分を挙げてみました。これらが正当化されるものかと言えば、そうとは言えず

「だから、もっと工夫して!」

という、当然の答えに行きつくのですが銀行の本音を理解すればこそ、対応もできるというもの。

 

「借りても、返す」ことが通常想定される範囲でできること、例え今が再生フェーズであったとしても、本来的に正常先足るポテンシャルがあること、今後の見込みと、結果の振り返りを継続的に報告すること

 

再生に際して、銀行の協力が得られた企業というのは、これらの粘り強い実行の末に得られたもの。銀行員の疑問を解消し、本音に応えていくことが一番なのです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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