金融庁と銀行のイタチごっこは続行中
日経記事によりますと、「邦銀の対(国)外債権の超過額が、3月末時点で過去最高」になったとのこと。
日本国内でのマイナス金利により、国内での資金運用にメリットがないことから外国での投資信託・国債の購入を行った結果なのでしょう。
金融庁は元々地銀による外債の購入を問題視していることから、足元では売却をすすめている銀行も多い、とされていますが全体の傾向としては記事の通りです。
金融庁は、銀行に対して中小企業への融資を増やさせたいけれど銀行は、資金を海外での運用にあてている、ということです。
銀行ごとの特色は、明らかになりはじめた
とはいえ、コンサルタントとしての実感で申し上げれば一部の銀行では
・リスケジュール中の企業に対して新規の融資口座を開設、既存の他行借入には借替を行った上で真水を足して正常化させる、結果メインバンクになる(その金融機関にとっては新規のメイン取引・正常先融資の実行、企業にとっては正常取引の回復とメインバンクの変更)
・既存の借入で延滞が発生している中で、一部の与信取引(手形割引)等の実行
・再生途上にある企業の不動産売却時に抵当権がついているにも関わらず、売却金の一部を返済に充当せず企業の他の支払に使用することを許容
・財務要件は若干未達だったものの、借入に対する社長の連帯保証を解除
するなど、確かにこれまででは無条件でダメ、となっていた取引が認可されることが多くなってきました。
もちろん、何でもかんでも、という訳ではなく企業の再生への取組みが評価されることが前提ではありますが単にマニュアル通りということではなく実態として、銀行と企業と、双方にとって実態としてのメリットを追及した結果ならば検討できるということです。
銀行がどれだけ中小企業向け融資をしているかは、誰でも分かる
銀行によって取組みに差がでてきたとなれば、自社の取引銀行では、どんなことを、どれくらいやっているのか気になるものですよね。
それは、誰でもある程度確認することができます。
方法は
・インターネットホームページ上で、取組み状況を記載している銀行は多いです。サイト内検索で、「金融仲介機能」や「地域密着型金融」のキーワードで検索すると、探しやすいでしょう
・各支店においてあるディスクロージャー誌を入手すると、やはり多くの銀行では金融仲介機能のベンチマークに関する記載があります。ディスクロージャー誌は、店頭でお願いすればまずいただくことができるでしょう。
コツは…、単に知りたい銀行の情報だけを入手するのではなくその銀行に近い規模の銀行や、同じ地域の銀行のものも入手し、比較してみることです
一つだけだと「そんなもの」と思えば終わってしまうものでも複数あれば「Aはこれだけやっているのに、どうしてBは?」と考えることができますから。
銀行の方針を、交渉に活かす
どうして、銀行の取組み方針や実績を確認した方がいいのか。
それは、企業が銀行に交渉をするにあたっては、基本的に新たな取組みに積極的な銀行からはじめるのがよいから、です。
一つの銀行の承認が得られることで、他行に追従してもらうことが狙い。
銀行取引は、こちらから積極的に仕掛けてもよいのです。是非、銀行を知るところから、始めていただきたいと思います。
執筆:今野 洋之