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伝言ゲームをクリアできる経営者が強い

「銀行員に「●●」とお願いしていたのに全然応えてくれない!懸命に担当者に依頼をしても「出来ない」の一点張り!どう考えても、銀行にとってもいい話だと思うのに…」

 

銀行対応のご相談を伺っていますと、このようなご不満をいただくことが非常に多いですが、あなたも同じように感じられますか?

 

こんな一方通行は、何としても解決したいところですが…

銀行との「対話」

ここ数年、金融庁は銀行に対して中小企業との継続的な「対話」を行いながら「これまでの型通りの判断から一歩踏み出すように」という方針・施策を打ち出しています。対話をコミュニケーションとするなら、借り手中小企業と銀行、相互に理解することが必要ですが、多くの中小企業経営者にとっては、まだまだ銀行は自社を理解してくれていない、もっと銀行に自社の事情を知ってほしい…と考えていることが金融庁のアンケート結果でも昨年発表されています。銀行に、もっと企業への聞く耳を備えてもらいたい…と願うのも当然のことではあります。

 

でも、少し気を付けなくてはなりません。どんなに頑張って、目の前の担当者と「対話」してこちらの想いを伝えても銀行内部で稟議を通すには、何人ものハンコが必要になることをもう一度踏まえておくべきです。この点を逆手にとって、逆に銀行交渉を問題なく進められる経営者も、確かにいらっしゃるのです。

伝言ゲームをクリアできる経営者が強い

大半の方がご存じと思いますが、銀行は稟議によって融資を実行する、取引条件を変えるなどの意思決定を行っています。

 

支店や営業部の中でも最低2名~多ければ4名以上本部や審査部でも概ね2名~4名以上の承認が必要であるため、本部稟議は4名~8名(以上)の承認を得ることになります。かつ、実務上よほどの事がない限りは「全員の承認」が必要で一人でも否決をすれば、まず認可されません。

 

それだけの人数を通過する必要があるのに「目の前の担当者に、一生懸命社長が口頭で訴えた」内容が間違いなく最後の方まで伝わるでしょうか?

 

しかも、経営者が直接伝える相手=担当者は、おそらくは全てのハンコを押す人の中で最も経験が浅いですよね。言うまでもなく、権限だってありません。担当者にどんなに熱意を伝えても、裏付け根拠をつくり、上席や本部を説得することは困難であることを確認しておくべきです。

伝言ゲームに勝つ=そもそも伝言させない

10分も30分も熱弁しても、上席や本部に伝わるのはごく一部。下手をすれば、意図が取り違えられて伝わるかもしれません。

 

優位な交渉をしている企業経営者はそうならないように、計画書の中に時にはA4一枚でも紙に書いて文面で伝えることで、伝言ではなく、こちらの意図をそのまま本部に送られるようにしています。

銀行からの質問には答える

また、銀行からの質問事項については、こちらからの要請を行う前に答えておきます。

 

意外と、銀行からの質問にきちんと答えていない経営者が多いのです。何となく根拠を数字で出すことが億劫になってやり過ごしたように思っても、特に審査部など本部からの質問は「稟議条件」などの名前で、銀行内部ではしっかり活字で残ることが多いのです。そこに真っ当な回答があるかどうかはその後の取引に目立たなくとも確実な影響があります。

 

つまり、「対話」とは…

 

  • 対話とはいえ、銀行の決定権者と直接話をするわけではないだから、書面などを使って確実にこちらの意図を伝える
  • 相互のやり取りであるため、銀行からの質問をやり過ごさず答えることが、より信用ある対話に繋がる

 

ことになります。銀行には、心から依頼をしてしまって構いません。どうせやるなら、ちゃんと伝わるようにしましょう。一方、銀行からの質問は、真っ先に答えていきましょう。当然にように思われるのに、できない企業が多いからこそ、できる企業が注目されるのです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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