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暴走する銀行員に企業が迷惑する

お客様と共に銀行に何度も伺っているうちに、私共コンサルタントと銀行員とが互いの立場や主張とは無関係に、ある種の連帯関係を持つことがあります。

 

私共は顧客企業の実態をお伝えする一方で、銀行の方からは「○○のくらい迄だったら、正直何とかできるんですが…」とか「この案件止めているのは、実は副支店長で…」とか「私としては、本当にこんなことしたくないのですが…」とか。本音がポロり、と出るのは人である以上避けられないものです。

 

古き良き銀行員としての矜持を捨てずに、企業の将来を考えて言うべきものを率直に仰る方今後の金融や企業のあり方から、経営者に決断を求め達成できたものは相応の評価を下さる方もいらっしゃるのですが

 

どうしても、そうではない方も。銀行は変わらなくてはいけない、というのを違った方向で行動されている、そんな出来事も発生しています。

誇りある銀行家、ただの銀行仲介業者 その2

前回、お客さま企業に起こった酷い出来事に触れましたが、最近似たことは増えているように思います。

 

金融円滑化法の施行以降、銀行にはコンサル機能の発揮が求められていることは広く知られています。企業のライフステージに合わせ、時には廃業を促すことすら銀行に課せられることは非常に重いことではありますが、その重さをどのように受け止めるかが問題なのです。

暴走する担当者に企業が迷惑する

あるお客さま企業は、融資担当者が突然アポなしで会社の全体会議や役員会に現れたかと思うと

 

「この会社は潰れかけ、このままでは銀行も救えない」
「全役員はどのように責任をとるのか」
「その回答をこの会議で決めてもらう」

 

ことを宣言、居座られてしまったのです。支店に電話、上席に出来事を伝えて謝罪が返ってきたのですが…、担当者曰く「会社に自覚を持って改善に向かって欲しかった」「待っていても時間の無駄と考え、こちらから動いた」とのこと。

 

完全に営業妨害ですよね?突然入ってきた銀行員に四の五のぶちまけられる社員さんの困惑と、それを目の当たりにさせられ、吊るし上げされる社長の立場を思うとやり切れません。

 

その会社は、まだまだ戦える状態なのですが…。見守って下されば、十分応えられるのに。

コンサル機能の発揮とはいったい何だ?

確かに、金融庁から銀行へ、また銀行本部から支店へ企業への指導により経営が改善した企業数や改善内容の報告が求められているとはいえ、そのやり方が「企業経営者を脅すように改善を約束させる」なんていうのは、もちろんコンサルでもなんでもありません。

 

企業経営、地域の経済の維持・発展ではなく、銀行や自身の足元の業務・目標を見つめて、与えられているマニュアルだけで判断(しかも極端に自己都合で)、というのがコンサル機能というなら別にコンサル機能なんてものは要りません。

 

しかし、現場の銀行担当者にのみ問題を擦り付けるのは誤りです。させている、させてしまっているのは常に上席であり、本部。組織として、です。次回はその点に触れていこうと思います。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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