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AI(人工知能)を活用した銀行融資商品

将棋やチェスなど、(競技性の高い)ゲームでAIが人間に、特にプロに勝ったというニュースが珍しいものではなくなりました。

 

ビッグデータと呼ばれる膨大な情報にアクセスすることで選択肢や状況を点数化、最適と判断される手を打つことでコンピューターが人間を超える、そんなSFのような展開が現実のものになりつつあるのでしょうか。

 

この影響は、勢いよく金融業界にも流れ込んできています。

AIと人間の争いは、融資審査にも及ぶ?

昨年10月、ジャパンネット銀行がAI(人工知能)を活用した融資商品をはじめた、との発表がありました。

 

さかのぼって9月には、みずほ銀行がソフトバンクと提携してAIを活用した個人向け融資を、今年より開始する予定であることが公表されています。

 

ジャパンネット銀行の方では、特定のクラウド型会計ソフトを使用することが前提で、その会計データ(単に試算表や決算書という「結果」だけではなく日常的な売掛・買掛等の発生、消込といったプロセスも反映される)を活用した融資判断がなされる、とのこと。

 

急速に露出度が上がっている言葉、フィンテックにより実現する、新しい融資の形が生まれています。

 

※フィンテック:fintech
Financial technologyの略語で、ビッグデータを基盤としたAIの活用など、IT技術により生み出される新たな金融サービス、とされます

融資審査に、人間は要らない?

では、近い将来、融資審査はAIに任せられるようになったとしたらスピードは機械の方が早い以上「融資担当者」は必要なくなってしまうのでしょうか?

 

当然、企業や経営者という「生き物」の評価に数字だけ、機械的な判断のみというのは、いくら何でも味気ないかなあ、と思ってしまう私は、もう古いおっさんなのでしょうけれども。

 

…しかし、今日の銀行(員)の内、どれだけが「機械的でない」融資判断をしているか、と思えば…、なんとも複雑な気持ちになります。

銀行員の目利き VS AIが始まっている

なにしろ、将棋だってチェスだって、元々は人間に勝つのは数十年早いと言われていたものです。

 

常に、大半の人間の予想を超える速度で成長し、人間(プロの競技者)を上回る強さを発揮しつつあります。

 

※AIの方が強いからといって、そのゲーム(競技)の価値も、競技者の価値も一切落ちることはないのですが

 

少なくとも、あと数年もあれば、かつてのビジネスローンのような商品がAIによって生まれ、融資担当者は補助的な立ち位置になる、ということは現実的にあり得るのでしょう。ジャパンネット銀行の商品に至っては、既にそうなっていると言えるのかもしれません。

 

となれば、事業性評価を中心とした目利き、数字に表せない企業の評価というのは、本質的には銀行員が自らの価値を示すためにAIと競争するためのツール、となります。

 

AIとの競争は、特定のゲームの競技者から日常のビジネスへと移りその矛先は、真っ先に金融業界へ。

 

銀行員は、もう「規定の縛りが」とか言っていられる場合ではないのです。規定通りでいいなら、AIでいいのですから。知恵の絞り合いが待っています。

 

予想できない程の変化が、これから起こるのでしょう。企業側としては、AIが相手でも、人が相手でも、十分に評価されるだけの企業でいられるように、事業を成長させていくことに尽きますが。

 

一点だけ付記すると、AIの活用では間違いなく会計データや預金の入出金データの活用がなされるため、日常の処理から適切に行うことが求められることでしょう。全てを開示してどうだと言える体制が、AI審査においては重要になります。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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