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事業性評価の留意事項

今後の銀行の融資姿勢を推し量る意味でもどんな企業が融資を得られるのか知る意味でもトレンドとなる事業性評価ですが、単純に決算書の数字の変動だけでは評価できないかといって、何も言わないでいても、銀行側が勝手に評価してくれるわけではないことが、分かりにくさを生んでいるようです。

 

一言で表すと「持続的な成長」が現実的に可能か、ということなのですがそれで理解せよ、というのも困難な話です。代表的な評価項目を挙げていくと

 

  • 業種、取扱商品(の特性)
  • 自社の強みや弱み
  • 市場や業界の動向
  • 地域性
  • 主要販売先、仕入先との関係性

 

等であり、これらを元にして自社の状況を洗い出し、課題と対応方針を出していく…ということではありますが事業性評価においては、これら以外の項目も大きく採り上げられており、むしろ同等以上に重要とされています。現在判明している追加ポイントを、まとめておこうと思います。

ライフステージ

本メルマガでも度々登場しているライフステージですが、企業のライフステージを「創業期」「成長期」「成熟期」「成長鈍化期」「衰退期」等に分類して、ライフステージ別に銀行側も支援方針を変えるというものです。ライフステージが衰退期だからといって、無条件に融資が出なくなる、というわけではありませんが、その場合には下記ポイントを含め、「表面上、一時的にはライフステージが衰退期であっても弊社は持続的な成長を達成できる」ことを示す必要があります。

競合や地域シェア

競合他社との力関係や、地域におけるシェアは、売上に対する直接的な影響力があるため、その動向を前向きに示すことができる企業は大きな説得力を持ちます。例えば

 

・地域に競合は4社あるが、内1社は今年地元から撤退の見込み、1社は営業部長が定年退職しており当面営業力が減退する…

 

といった具合で、これまで銀行との対話の中では大きく扱われることのなかったやりとりが発生することになります。※当然、風説の流布などへの配慮が十分以上に求められます。

新規参入や代替品

大手企業の参入可能性がどれほどあるのか、代替商品の誕生により、自社取扱商品のニーズが急減しないかに触れる項目です。10年先ともなれば中々予測の困難なものではありますが、現状において、どれ程その脅威が見込まれるのか万一脅威が現実化した場合に、どのような対応を行うのか示すことのできる企業は大きな評価を得られるでしょう。

成長ポイント

これらの各ポイントを前提に、企業の「持続的な成長」を示す指標を独自に定めることができます。必ずしも融資評価上の指標や、決算数値で表現される指標に限らなくともOKです。例えば

 

  • 顧客単価
  • 人件費/売上
  • 経常利益+減価償却
  • 売上総利益/社員数
  • 残業時間/社員数

 

等、それぞれの企業の改善、成長ポイントに則した指標を自ら挙げて、実際に改善していくことになります。

 

いかがでしょうか?自らの創意工夫をもって、銀行をこちらから動かしていく、そんな企業がこれからも生き残っていけるということをご理解いただければ幸いです。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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