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日本型金融排除をしっかりとコンサルタント目線で解説

金融庁は、今年事業性評価をはじめ、様々な新しい施策を実施しました。銀行は、一部を除きまだ様子見をしている印象です。銀行によっては金融庁に対してかなりの抵抗を見せているという情報も入っています。

 

しかし、金融庁の基本方針は遅かれ早かれ実現するでしょう。

 

銀行自身のビジネスモデルも、もう限界です。今のままの融資審査では融資先はなく、金利のダンピングで融資残高を競ったところで収益になるはずもないのに地元企業を野放しにしては、最終的に自らの存在意義もなくなります。企業とヒト、経済のないところに銀行は要りませんから。

 

いち早く、新制度を理解して対応するところが、今後必要な融資を得ながら生き残っていく企業の条件です。今回は、「日本型金融排除」という新たに生まれている言葉の背景を確認しつつ、金融庁の方針を確認しましょう!

金融行政方針の公表で定義された言葉

10月21日に、金融庁は平成28事務年度の金融行政方針を発表しました。金融行政方針は、現職の森信親金融庁長官が就任した2015年から年1回公表しているもので、各事務年度(7月~6月)において

 

  • 金融庁がどのような方針で金融行政を行っていくのか
  • そのために、どのような施策を実施するのか

 

を明記し、発表するものです。昨年の金融行政方針においても、金融機関に対して「金融仲介機能の十分な発揮と健全な金融システムの確保」のため、「金融機関が、企業の「稼ぐ力」を金融面から支援するとともに、担保・保証依存から、企業の事業性に着目した融資姿勢への転換を進める」

 

そのために

 

  • 融資先企業へのヒアリング(1000社程度)による実態把握
  • 金融仲介の取組みを客観的に評価できる多様なベンチマークの検討
  • 金融仲介のあるべき姿を議論

 

等を行うものとしていました(この3点は、抜粋したものです)。

 

事実、これらは実行されました。融資先企業へのヒアリングによって、金融庁は「銀行は、企業を見ておらず、未だ担保・保証に依存した融資しかしていない」ことを認識しました。※金融庁は、これまで銀行からのヒアリングのみによって、間接的に企業を把握していたのです

 

金融機関の取組みを金融庁が評価するために「金融仲介機能のベンチマーク」が策定され、既に公表されています。金融機関が地元企業に融資を行うことで経営改善がなされて地域経済にいい影響を与えるものが評価される仕組みになっています。

 

あるべき姿を議論する中で、改めて新しい切り口での企業評価を行う事業性評価を推進することが確認された一方、

 

  • 担保・保証人依存しないと融資しない
  • 創業間もない等、実績のない企業には融資をしない

 

旧来の悪癖である金融機関の姿勢や状況を「日本型金融」と呼称することで、これから取り組むべきものを事業性評価とこれまでの常識で、脱却するべきものを日本型金融と認識して、言葉を与えたそれが「日本型金融排除」という言葉の背景です。

金融行政方針の本気度と、現場の綱引き

日本型金融排除については、昨事務年度の行政方針によるヒアリングや検討の結果として定義され、今事務年度において排除のための実態把握が始まるとされましたが、

 

金融機関のビジネスモデルを転換させ、新規融資の取組みを加速させる施策としては

 

  • 事業性評価の推進のため、新たなる評価指標としてローカルベンチマークを策定
  • 金融仲介機能のベンチマークを策定、金融検査マニュアルの履行に代わる、新たな金融庁の銀行に対する指導として採用
  • 事業性評価については金融機関の表彰制度を用意して、今後取組みしている金融機関と、そうでない企業の明確化をする

 

する等、通常の政府の発表物と比べると、はるかに現実化が進んでおり金融庁の、今から実施することの本気の予告といってよいものとなっています。

 

昨事務年度、今事務年度の行政方針を並べてみると、金融行政に対する昨年度の問題提起が実態把握になり昨年度の実態把握が課題抽出になり昨年度の課題抽出が対応策になる等、あとはやるだけに至る準備が着々と進んでいることがよくわかります。

 

尚…、金融庁による日本型金融排除の実態把握調査は、今年中は銀行からのヒアリングが主ですが、年明けには1,000社を超える企業に対して、アンケート形式での実施が予定されています。企業側の真摯な訴えが、金融庁に届きますように!

 

中小企業は、銀行がやりたくない素振りを見せても銀行よりも先をいって、こちらから新制度を用いた状況の変革を求めなくてはなりません。

 

銀行だって、今のまま経営を続けることはできないのです。また新制度は「自ら手を挙げないと」取扱いは困難です。企業自身の方針や、事業の評価は、自らアピールしないと銀行は気づくことができない、評価できなくて当然のですから。

 

弊社では、多くのお客さま中小企業と、新制度の規定や思想をベースに、既に多くの取組みと実績を挙げております。本メルマガでも、新制度の実務上の取扱いや成果を、随時お伝えしていきたいと思います。

 

是非御社でも、銀行から適切な評価を得て必要な資金が用意され、経営改善がなされますように!

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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