新しい銀行融資を受けるための会計処理について
率直に申し上げれば、平成10年頃から特に、粉飾決算を行う中小企業が激増したように思います。
当時はビジネスローンという、決算書をパソコンに入力すると自動的に融資の可否や金額、金利、返済条件などが決まるそんな、形式的な融資判断が増え、概ね直近の1~3期で
- 債務超過でなくて
- 当期利益+減価償却がプラス
なら、融資は随分と出やすいものでした。ある程度精通していれば、お客さんの決算書をみると大体の想像はできるため、私のような者からすればそれ自体が仕事にもなりました。「資金調達コンサルタント」なんてものが、職業?として横行していたものです。
要するに、会計上の利益が出ていることで融資は得られる。今お金を借りることができなければ、会社は倒産してしまう…そのためには…
こうして、悪いこととは分かっていても、経営者が粉飾に踏み込んでしまってきたのです。また、一部の専門家が、それを容認もしくは促進してきたのです。
融資を得るために粉飾、はもう時代遅れ
その是非は、ここでは触れません。あまりにも色々な事例があり、現在の当事者だけでは責任の所在をはっきりさせることすら困難だったりしますので。(弊社では、「今後改善、収束に向かうこと」「最終的に全関係者に開示する」のならば、問題とはしません)
いまだに安易に売掛や棚卸を過剰計上するなどの方法で財務評価を上げ、融資を得ようとする経営者様や専門家はいらっしゃいますが、今後のことを考えると新たには操作しない今存在するものも、最終的に開示・収束することが、これからの新制度においては融資を得られることにも繋がっていることを強く意識して、対応していかなくてはなりません。
いくつか簡単に解説して、確認していきましょう。
新制度は「粉飾破り」を実装している
経営サポート保証
冒頭のあいさつでも触れた経営サポート保証では企業に対して専門家による財務分析が行われます。その分析には、貸借対照表上の資産の時価評価が含まれますので、当然のように専門家の手によって実態が明らかになります。
ローカルベンチマーク
今後の財務評価の指針となるローカルベンチマークでは採り上げられる財務指標に、売掛や棚卸の過剰計上や買掛の過少計上を行うと、数値が悪化するものが新規に加えられています。
事業性融資
企業のビジネスモデルや将来の成長性に焦点を充てる事業性融資においても、売掛や棚卸の「実態」は適正であることが前提のため、ここに問題があると取組むことはできません。
経営者保証に関するガイドライン
経営者の過剰な担保や保証の提供から身を守るための制度も、「会計処理の手法や内容に、虚偽がないこと」を宣誓するとともに、疑義が生じた場合は過去に遡って経営者の責任が再度問われます。
だが過剰に怖れる必要もない
とはいえ、弊社の取組み上では、「粉飾そのものが理由で、望まない倒産をした企業」はありません。処理の仕方は技術的な問題なだけですし、開示するにしても、大事なことは「企業にとっても関係各位にとっても、そして銀行にとっても今のまま惰性でいくよりはマシで、将来的に一番よい」
シナリオならば、必ず打開可能だから、です。
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