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銀行員もサラリーマンで人の子?

平成10年、私は銀行員になった頃は、ちょうど金融検査マニュアルが強い力をもって銀行の財務状況を制限した時期です。自己資本比率を維持、改善しなくてはならなくなった銀行が融資を大幅に制限、貸し渋りという言葉が世に出た頃でした。

 

それまではできた融資が突然できなくなったことで、当時多くの企業にもご迷惑をかけてしまったことを今も思い出すことができます。

 

多くの銀行が公的資金を注入され、経営改善を迫られ人事を含むリストラ、福利厚生施設の売却、店舗統合から銀行の統合・合併に至る、様々な銀行自身の取組みがありましたが、銀行だって会社。

 

給与・賞与の削減の話が来ました。

 

当時まだまだヒラとはいえ、私や同期だって銀行員。そもそも銀行にはバブル経済の責任の一端を背負っていたことの経緯も考えると、それで少しでも銀行が正常化して融資ができるのなら…と、私や同期の友人は話していました。

債務者に言うことを、自分では拒否するという実態

ところが…、いざ本当にその話がくると、こんな方がいらっしゃるわけでして。

 

  • 10万円でも賞与が下げられたら、住宅ローンが払えなくなるから、とても受けられない
  • 従業員の権利として、人件費の削減はそうそう賛成できない

 

…ショックでした。融資先がお金を返せなくなったら、経営者の資産を処分してでも回収しますよね?その時には「返済資金がないなら、資産売って返済するのが当たり前」と、冷静に、冷徹に伝えますよね?

 

私たちの融資先に経営改善を要求し、(直接的ではないかもしれないとしても)資産の売却だって求める。人事リストラだってある。

 

なのに、自分のことになると…、お客さんに日常的に言っていることは、何だというのか住宅ローンが払えないのなら、売ったって賃貸で生きていくことは普通にできるでしょう?いやなら、自分の給料を上げる努力をするしかないでしょ?

 

後で思い起こせば、自分が銀行を出るトリガーだった出来事でした。現在、このような考え方をもっている銀行員が一人でも減っていることを願っています。

だから、経営者は自ら立ち上がるべき

現在、コンサルタントとしての私は、あえてこの出来事をやむを得ないことだと考えています。「人は、自身のコンサルはできない」のですから。

 

要するに、自分のことになると、てんでダメなものなのです。だからこそ、アドバイスや助言は謙虚に受け止めるべきなのです。他者に対しても同じで、互いに自分ではできていないことでも他人様にはお伝えしていることが、いつだってある。

 

絶望しますか?そんなことをお伝えしたいのではありません。

 

銀行員だってサラリーマンで、自らの都合で動くのは、ただただ当たり前なのであって、企業経営者は、ビジネスとして双方にメリットのある逆提案・アピールをすればよい、ただそれだけのことです。

 

銀行に頼る、依存するのではなく、自ら立つ経営者が銀行員にも「この人は本気だ」と受け取られ、その他大勢の企業とは違う、と格別の扱いを受けるのですから。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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