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税理士とコンサルタントは、使い分けるもの

ここしばらくは、新制度の元で銀行からの評価を得るためにどのように本業で出した利益を計上していくかまた粉飾のような手法は、かえって状況を悪化させ新規融資から遠のいていくこと、このようなポイントに触れることが多くなっています。

 

本業で出した利益≒営業利益をどのように表現するか、粉飾に限らず、過剰計上となっている資産をどのように適正値に戻していくのか、となれば、中小企業は税理士先生との相談の中で決めていくことになりますが税理士先生にはどうしても、解決への手を出しにくい状況が存在します。そして、逆にコンサルタントのような立場では、手の触れようがない状況も、よく生まれます。

 

「税務」の専門であるからこそ、難しいところもある

今後、売上や原価を調整、資産を膨らませることで売上と利益を計上する手法は、銀行交渉においても不利になる一方なわけですが、この対応において税理士先生はどうしても、その扱いに手を出しにくいと伺っています。

 

弊社にも、そして私自身にも懇意にさせていただいている税理士先生がいらっしゃいますし、とても頼りにさせていただいておりますが、立場として

 

膨らんだ資産を、適正値に戻す
⇒この処理は、税金という意味では納付額が減る方向
⇒膨らんでしまった経緯を、元々知っている立場では?
⇒税理士先生にもリスクがある

 

ということで、二の足を踏んでしまうものとのこと。確かに納得のいくもので他にも多くのクライアント企業をもつ中で、税務署や銀行から、過去の会計処理の適切さを指摘されるのはその後のお仕事に悪影響が生まれかねません。

 

つまり、税の専門家であるがため財務内容の適正化という見地では、利害関係が絡み合ってしまうポジションなのです。

コンサルタントも、万能ではない

実際、弊社がコンサル対応しようとした際にも税理士先生から反対された本当の理由が(ちょっと派手な言葉になりますが)「粉飾処理の責任をこちらにされてはたまらない」ことにあったことは、かつてはよくありました。ここ数年で、ほとんどなくなりましたけれど…。

 

※なお、弊社取組み上過去の会計処理の責任が税理士先生にあるとしたことはありませんし、この処理の適正化を原因として企業が倒れたこともありません

 

では、コンサルタントの方が、税理士先生よりも優位な立場かと言えば…、あり得ません。

 

肝心なことは、言うまでもなくクライアント企業に何を成すか、ということですがどんな施策をなすにせよ、「将来見込まれる税金納付」への備えを、より正確にと考えれば、その専門家である税理士先生の知見はコンサルタントよりもはるかに重要なものです。コンサルタントには、税務業そのものができません。

専門家のコンサル化と、専門性の深化のバランス

金融の専門家としての銀行も含め、各専門家はコンサル機能をもつことが求められておりそれを謳うことが当たり前になっています。一方、コンサルとしては、中小企業の承継・相続に日本経済の縮小という現実の問題に対して税務・法務その他、各専門性がより深く・高い水準で求められるようになっています。

 

全てをカバーするのは非常に困難なのではないか、と私は考えています。

 

従って、企業経営者におかれては相手の専門性と、必要な要素を見極めて専門家にせよ、コンサルタントにせよ使い分けをしていただくのが必要であり、税務・法務などを満たし、かつ銀行などの債権者、他各関係者に対しても協力を得られるかを見極めながら、必要なサービスを受けていただければと思うのです。「ワンストップ」というのは本当に大変です。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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