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メインバンク制が改めて登場する?

メインバンクは企業を助けてくれるわけではない、困ったときに何もしてくれない…という話、自社にせよ他社にせよ、全く聞いたことがないという方はいないのではないでしょうか。

 

この原因は、「金融検査マニュアル」によって、銀行のもつ不良債権の金額=貸倒引当金の積立額を、全ての銀行一律の基準で判定しなくてはいけないことにありました。それ自体は当時の状況として必要だったとはいえ、弊害として、誰もが同マニュアルに基づいてしまう

 

⇒メインバンク云々以前に、銀行独自の判断ができなくなった

 

わけですから、銀行側の視点でいえば「やりたくてもできない」ということです。金融検査マニュアルが撤廃の流れにあることは前回触れていたことですが、さて今回は、金融検査マニュアルの撤廃の先に、ある意味でのメインバンク制の復活を、金融庁が銀行に求めていることをお伝えします。

メインバンクって何だった?

実のところ、間違いない規定としての「メインバンク」の定義はありません。主に、融資や保証の残高、使用していない極度枠などを全て含んだ「与信総額」が一番多い金融機関、とされますが、

 

  • 額は大きくとも担保や保証がたくさん入っているため、ほとんどリスクはない銀行でもメインなのか?
  • 借入総額がそんなに大きい金額ではなく、預金や為替(振込など)の取引はまったくしていなくてもメインなのか?

 

このあたりは何か制度やガイドラインがあるわけではなく、結局のところは

 

銀行が「当行がメインバンク」といい、借り手企業側がそれを認めていれば、その銀行がメインバンクです。

 

企業側に明快なメインバンクの選択意思があり、銀行がそれをOKすれば、借入金額に変動がなくともメインバンクの変更ができることだってあります。

 

私の顧客企業においても、事業再生にあたってより協力的な銀行にメインバンクの変更を行ったことがあります。この状況で、今回金融庁が何を狙っているかといいますと…

「地域金融機関」としての地域への貢献を率先するという金融庁から銀行への要求

金融庁の銀行への検査は、既に貸倒引当が十分かどうかという守りの内容から、自らの事業地域の経済・企業に対してどんな貢献をしたか、という攻めの姿勢へと変わりつつあります。

 

ここ数年、地元では貸す先がない、という名目で越境営業する銀行や信金・信組の動きを、金融庁は極めて苦々しく考えており、もっと自ら工夫して地元企業に貢献しなさい、と指導を行いはじめたのです。

 

その具体策として、「自ら率先して、地元借り手企業の再生や承継などを主導する」実績を求めています。この「自ら率先して」という部分が、結果的に与信の大きい企業に対して、メインバンクとしてこれまでの金融検査マニュアル依存で思考放棄することを止め地域経済・企業への貢献を行わせよう、ということなのです。

既に動きははじまっている

この金融庁の意向は非常に強いもので、既に皆様が融資担当者と話をしていても、これまでと異なる質問などがきているかもしれません。特に、過去の実績の話よりもこれからの動向や経営方針に関する質問が増えているのなら「まずは、もう一度企業のことを知ろう」という動きの表れです。皆様におかれてはいかがでしょうか?

 

しかし、この大きな動きは、メインバンクと地域金融機関ではスタンスが異なります。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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