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保険の担保設定を要請してくる銀行に要注意!

保険に質権を設定することで借入の担保とすることは法的には可能ですが、コンプライアンスの観点から行わないことが一般的になっています。なにしろ、昔のドラマのような「クビを○って、借金を返せ(す)」という台詞が想像されてしまいますから。

 

しかし、昨年から、ある銀行に限って4件も、銀行から保険の担保設定依頼があったことをお客さまとのご面談の中で確認しておりますので、今回はその内容と注意喚起をしておこうと思います。

どんなやり方で、保険の担保設定を依頼してくる?

典型的には、二つのパターンです。

その1

  • 無担保で融資を行う
  • 銀行窓版の保険に加入してもらう
  • 担保が足りないから、といって2.の保険に担保設定の依頼をする

 

銀行から見て、融資の金利を得る、保険の収益も得るかつ担保として安全性を確保するといういいこと尽くしですね。

その2

  • 新規融資が難しいと判断された借り手企業に「保険を担保にくれれば、融資をする」と申し出する
  • 担保設定を行い、融資を実行するが、期間は短期の分割返済にする
  • 担保設定は根担保なので、その融資が返済になった後は他の既存の借入の担保として銀行側の保全に使われる要するに、追加担保になる

 

一旦企業の融資に応えたように見えて、実際は銀行側の保全の改善に一方的に使われている、ということです。

背景と対応

両方とも、かなりひどいやり方です。保険の質権設定金額は、不動産等の担保と異なり銀行の内部管理上は「担保金額」に含めないことが当たり前で担保として計算に入れないものでした。

 

経営者側が、覚悟として自ら差入れする場合にのみ考慮するものです。が、その銀行としては、そのような体面を捨てて実質的な回収可能金額を確保していこうという考えなのでしょう。

 

保険を担保として差入れするのは、企業の再生を考えたときの手段として有効ですが、あくまで企業側からの判断によってのみ行われるべきものです。

 

間違っても、銀行からの依頼によって差入れするようなことがあってはなりません。

 

ちなみに、この銀行は地方銀行の中でも大手と言われるその地方では有力なところです。今後、同様な対応をする銀行が増えることも予想されます。皆様、重ね重ねご注意下さい。

 

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この記事の著者

  • 今野 洋之

    1998年さくら銀行(現三井住友銀行)入行。6年間で一般的な融資から市場取引、デリバティブ等広範な金融商品を多数取扱う。その後、企業側での財務経理責任者としてM&Aを実施、フリーとしての活動を経て2008年に当社入社。 相談・面談件数は全国で1100件以上、メルマガや雑誌等の記事執筆からメディアからの取材対応も多数。 一般的な金融取引の見直し、借入の無保証化、銀行取引の見直しによるコスト削減を一企業で年間8百万円以上達成。 粉飾開示と同時の返済条件変更依頼、条件変更中の新規融資実行も多数実施し、変則的な条件変更(一部金融機関のみの条件変更)の実行や、事業譲渡による再生資金の調達、事業を整理する企業の上記を全て、法制度・コンプライアンスの抵触なしに履行。

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