銀行が手をさしのべる企業とは!?銀行を味方につけるには!
「これまでの取引実績」というのは本当に使える?
私が企業経営者よりいただくご相談には、銀行との交渉が上手くいかない、あるいは決裂した、というものが多く含まれます。経営者側としては、これからやっと収益改善が形になるというタイミングで、銀行からつれない対応をされては
- 創業以来、一度も延滞なくやってきたのに…
- 依頼されたことは、イヤなことでも可能なだけ協力してきたのに…
- 何のために日頃、銀行取引をやってきたのだろう?
と憤慨したくなるのも当たり前なことです。ある意味、銀行は「引きたい時にはこれまでの実績に関係なく引く」ということは既に知られたことではありますが、一方、そうではない企業、本当に困ったときに、銀行が手をさしのべた企業もまた、少数とはいえ拝見してきました。
何がポイントだったのか、確認しておこうと思います。ただし、今回はかなり「銀行側」からの表現になります、気に障る表現が含まれるでしょうけれど、そこは何卒ご容赦ください。
「延滞歴がない」は意味がない?
私が銀行に勤めていた頃でもそうでしたが、過去延滞歴が一度もない、という事実がお客さんの評価を底上げできるとしたら「20年以上」の期間の話ではないでしょうか。これは特に規定のある話ではないので、感覚的なものなのですが銀行員にとっては、延滞がないことは、よくも悪くも…当たり前、なんです。
今コンサルタントとして銀行と向き合うときも、原則このポイントはアピールしません。これからどれくらい返していくのか、がメインであるべきで、これまでの実績は最後に付け足すくらいにしています。銀行側に立つと、数十年以上に渡って正常に返済を続けている企業も沢山いるのです。
依頼に応じたことは、担当が替わった時点で意味がない?
以前頼まれて融資を受けた、入金口座を集中した、投資信託を買った等、協力してきたというのは、残念ながら担当が替われば意味を失うと思った方がよいでしょう。替わらなくとも、翌期になればリセットされます。
そもそも、銀行の企業評価において「こちらの依頼に協力的」などという評価項目はありません。むしろ、協力する、というのは銀行側からみると「こちらの言うことを聞く」相手として、随分と劣悪な条件になっていることの方が多いのです。
語弊を怖れずに言えば、奴隷化です。
一度このレッテルを貼られた後でこちらからの依頼をすると、一方的にあり得ないような反応をされるという、まさに奴隷のような関係では、困ったときに助けてもらえるはずもありません。余裕のある時期に、正常化を図るべきでしょう。
ちなみに、正常化というのは、
- やりたくないものはやらないと言う
- 不条理・不合理な対応が続けば取引銀行を替える
ことが基本です。困ったときに手をさしのべられている企業は、普段から格別の協力などしていません。
では「手をさしのべられる」企業は何をしている?
先日、どうしても条件変更(リスケジュール)をしなくてはならない企業が、メインバンクへ申込にいった際、その後私の方へ支店長様からお電話をいただきました。
なんと内容は
- 本当はリスケジュールを半年前にするべきだった、こちらから社長に言わなかったことを申し訳なく思うし、可能な限り協力する
- リスケジュールは、翌日の返済分から、即適用する
という、非常にありがたいもの。当然、えらいのは私ではなく社長です。社長がやっていたことは、至極当たり前のことです。
- 資金繰り
- 損益計画と進捗、目標未達の場合はその要因と対応
- 売上(受注)の計画と進捗、今後の見通し
- 上記から、今後どれだけの資金がいつ要るのか
を、いつでも、数字と説明で、社長自身が行ってきたこれだけです。「融資を受けるときだけ資料をつくる」ではダメなんです。何も、財務の勉強を一通りするべきだと言いたいのではありません。大半の中小企業は、財務上のポイントは3つ以内に収束されますので、ポイントを絞った説明が可能です。
当社の場合も、ポイントを定期的に説明し続けてきたことが、信用を積み上げてきたことは、間違いありません。もっとも重要なのは、普段、問題が無いときの動きです。
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