事業再生での債権者交渉の場面では感情を特に意識する
自分の会社の資金繰りが厳しくなった、その場合、会社を倒産させるか、それとも再生に向けがんばるか、選択することになります。
社長に、経営への思いが少しでもあるのであれば、ぜひ事業再生に向け、前に進み出してほしいものです。
その中で、資金繰りが厳しいということであれば、各方面の債権者に対し交渉が必要となってきます。各方面とは、第一に銀行、そして仕入先・外注先、年金事務所・税務署、従業員などです。
その交渉の中で、各方面から協力を得られる経営者と、そうでない経営者がいます。
倒産寸前の企業の倒産を回避し、再生に向かっていくという事業再生の仕事。はたから見ると理論ばかりを駆使するようですが、実際は、人間の感情がここに多く入るものです。
事業再生のポイントは、なんといっても資金繰りをどうつけていくかですが、まずは倒産回避するために、緊急の資金繰りをつけなければなりません。
その中で、債権者との交渉があります。まず、銀行とは必ず交渉することでしょう。それでも資金繰りがつかないのであれば、仕入先・外注先、年金事務所・税務署、場合によっては従業員にまで、交渉しなければならないことがあります。
この場合に、交渉がうまくいくのは、プライドを捨てて、協力を各方面に要請できる経営者です。
その交渉がうまくいかなければ倒産してしまうのですから、経営者はプライドを捨てるべきです。
債権者それぞれに協力をいただくというのは、別の言い方をすれば債権者それぞれに迷惑をかける、ということです。プライドを捨てて、債権者に真摯に対応できるかが、その後、再生できるかどうかを大きく左右します。
銀行交渉でなかなか銀行が同意しない時
経営改善計画書など、再生をどう行っていくかの資料を用意し、銀行に交渉しても銀行がなかなか同意しない場合。
なぜなのか、根本の原因を見てみると、銀行から「社長の態度が悪い。自分が被害者だと思っている。許せない。」と思われて、それが引っかかっていることが多いものです。
このような感情のもつれで、再生に向け進めないことは大変もったいないことです。
このような感情のもつれを解きほぐし、また新たにもつれないようにするために、企業側が心がけた方がよい行動は次のとおりです。
- 社長は、迷惑をかけることに申し訳ないという気持ちを持ち、謝罪の姿勢を見せる。
- 約束した時間や、提出資料は守る。どうしても約束を守れないことがあれば相手へ相談する。
- 相手が、内部で報告を上げやすいように、書面を活用することを心がける。
- 相手が疑心暗鬼になるような行動はとらない。分かりやすい行動をとる。
これは、銀行だけではなく、相手が仕入先・外注先、年金事務所・税務署、従業員でも同じです。
感情が大事だということを頭に入れる
人間、感情が大事です。いくら理屈では正しいことを言っているつもりでも、相手が感情的になっていて受け入れられないことはよくあります。
事業再生では、経営者は各方面に協力を頼まなければならない場面ばかりです。各方面に協力してもらってこそ、再生に向け一歩ずつ進んでいくことができます。
プライドが高く、銀行やその他債権者に対し真摯に対応できず、再生に向け進んでいくことができない経営者は多くいます。事業再生するために、まず心がけていただきたいことです。