銀行取引約定書を利用し金利引下げ交渉
企業が、銀行と融資取引を開始するにあたって交わす銀行取引約定書を見てください。次のような条項があるのではないでしょうか。
(ある銀行の銀行取引約定書より抜粋)
「利息、割引料、保証料、手数料、清算金、これらの戻しについての割合および支払の時期、方法については、別に甲乙間(注:甲は企業、乙は銀行)で合意したところによるものとします。ただし、金融情勢の変化その他相当の事由がある場合には、甲または乙は相手方に対し、これらを一般に合理的と認められる程度のものに変更することについて協議を求めることができるものとします。」
ここで注目するのは、「甲または乙は相手方に対し」の部分です。銀行が企業に対し、金利を引き上げる協議を求めると同様に、企業が銀行に対しても、金利を引き下げる協議を求めることができるのです。
そして金利の変更の事由として「金融情勢の変化その他相当の事由」とあります。金融情勢の変化とは、市場金利の変化、貸出約定平均金利(日本銀行が統計を出しています)などが考えられます。その他の相当の事由とは、企業の業績の変化による信用力の増減などが考えられます。
この条項は、銀行が企業に金利引上げを求める根拠として使われることが多いですが、逆に企業が銀行に金利引下げを求める根拠として使ってもよいのです。
この条項の存在、あなたは知っていたでしょうか。契約書をすみずみまで読み込まない人は多いものですが、銀行取引約定書をすみずみまで読んでみると、このような条項があるのです。
そこで、この条項を利用し、銀行に対し、
「市場金利や、日本銀行の貸出約定平均金利が下がっていますよね。今、おたくから借りている融資の金利、下げられないでしょうか。」
「弊社、この融資を受けた時に比べて、業績は大きく良化しました。信用力が良くなったということは、貸倒れリスクも少なくなったということですよね。金利、引下げられないでしょうか。」
このように言って、交渉を行うことができます。銀行取引約定書を元に金利引下げ交渉が行われるのであれば、銀行も無視するわけにはいきません。銀行取引約定書を読みこんで、有効に活かすようにしてください。
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