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つきあう金融機関の業態を複数にする

金融機関の業態には、メガバンク・地方銀行・信用金庫・信用組合・政府系金融機関などがあります。あなたの会社は、いくつの業態とつきあっているでしょうか。ここでつきあうという意味は、融資を受けている、という意味です。

 

つきあう業態の組み合わせは、例えば次のように、

 

  • メインは地方銀行、他、信用金庫・政府系金融機関
  • メインはメガバンク、他、地方銀行・信用金庫・政府系金融機関
  • 地方銀行1行取引

 

などのように、いろいろな組合せがあります。この業態によって、次の違いがあります。

金融機関の業態による違い

企業の評価方法の違い

メガバンクは定量面重視、信用金庫は定性面重視、地方銀行はその中間が基本です。定量面とは決算書等の数値分析、定性面とは経営者の能力や企業の技術力・販売力など決算書等には現れないところを言います。

 

この評価方法の違いから、ある企業に対し、メガバンクや地方銀行で融資が出ないのに、信用金庫では融資が出る場合もあります。

一社に対する融資総額の違い

一般に、メガバンクは規模が大きく、信用金庫は規模が小さいです。

 

メガバンクのA行は貸出金総額が50兆円、信用金庫のB信金では貸出金総額1,000億円であれば、規模の差は500倍です。当然、規模が大きいほど一社に対し出せる融資総額は大きいことになります。

 

金融機関の規模の大きさは、一般的に上から順に、メガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合となります。

 

ただし、例えば同じ神奈川県にある、地方銀行の神奈川銀行の貸出金量は3,094億円、川崎信用金庫は9,698億円と、必ずしも業態の差が規模の差にならないとも言えます。各金融機関の預金量や貸出金量は、下記、金融庁のホームページで見ることができます。
http://www.fsa.go.jp/policy/chusho/shihyou.html

一回あたりの融資金額の違い

メガバンクは、一回に大きな金額の融資を出してくれても、信用金庫はなかなか難しいです。

例えば、同じ企業に対し、メガバンクは1億円の融資を難なく出すことができても、信用金庫はよほど優良な企業でなければ難しいです。一方で、300万円とか500万円など、金額の小さな融資をこまめにだしてくれるのが信用金庫です。

 

メガバンクは、金額が小さいからと審査を面倒くさがって出してくれない融資金額でも、信用金庫は出してくれたりします。

企業への日常の接し方の違い

メガバンクは、その銀行が重要と考えている融資先でなければなかなか訪問してくれるものではありませんが、信用金庫はどんな融資先でもこまめに訪問してくれます。地方銀行はその中間です。

 

では次に、業態の組合せの考え方を述べます。

金融機関の業態の組合せを考える順序

まずメイン銀行を決める

まず、融資や預金、振込、手形小切手決済などメインで使っていくメイン銀行を決めます。メイン銀行とは、融資だけでなく預金や振込など日常取引も含めた概念です。こう考えると、政府系金機関はメイン銀行に成りえないことが分かります。

 

創業時は地方銀行や信用金庫をメイン銀行とします。そして会社が成長していくにつれて、メイン銀行の業態も大きくしていきます。

 

例えば年商数千万円レベルの会社は、メイン銀行は信用金庫でもよいのですが、年商数十億円レベルの会社は、メイン銀行は地方銀行やメガバンクとします。

政府系金融機関はプラスアルファで考える

政府系金融機関、中小企業の場合ほとんどは日本政策金融公庫を使うことになりますが、これはプラスアルファで考えます。

 

メインで融資を受ける金融機関とはなりえないですが、ただし政府系金融機関は民間金融機関を補完する存在です。政府系金融機関ともつきあって、融資を受ける流れを作っておくとよいでしょう。

業態を組み合わせる

メイン銀行が決まり、また政府系金融機関で民間金融機関を補完することが分かったら、次はそれ以外の金融機関の業態の組み合わせを考えます。

 

(1)メガバンクのみ
(2)メインはメガバンク、他、地方銀行
(3)メインはメガバンク、他、信用金庫
(4)メインはメガバンク、他、地方銀行・信用金庫
(5)地方銀行のみ
(6)メインは地方銀行、他、メガバンク
(7)メインは地方銀行、他、信用金庫
(8)メインは地方銀行、他、メガバンク・信用金庫
(9)信用金庫のみ
(10)メインは信用金庫、他、メガバンク
(11)メインは信用金庫、他、地方銀行
(12)メインは信用金庫、他、メガバンク・地方銀行

 

※信用組合も組み合わせるとパターンが膨大となるためは省きます。

 

信用金庫に置き換えて考えてください。なお、例えば(1)メガバンクのみの場合、メガバンク1行のみから融資を受けている場合と、2行以上から融資を受けている場合もあります。

 

まず、融資を受ける金融機関は複数にすることは大事です。金利の競争を起こさせて金利を下げる効果、1行のみからの融資であればそこから融資が受けられなくなった時に融資を受ける手段がなくなってしまうリスクを減らす効果があります。

 

(1)(5)(9)は、1つの業態のみとの取引です。業態の違いを考えると、あまり良くないパターンとなります。

 

業態を組み合わせることにより、例えば300万円ぐらいの融資で、短期のつなぎ資金などひんぱんに起こる融資は信用金庫で、大きい設備資金やまとめて長期で借りたい運転資金の場合はメガバンクや地方銀行で、と考えることができます。

 

(3)(10)は、メガバンクと信用金庫の組合せであり、もう一つ、地方銀行がほしいです。一般に規模の順に、メガバンク、地方銀行、信用金庫ですが、メガバンクと信用金庫の組合せで地方銀行がないのはバランスがとれていないです。

金融機関の業態の組合せは一般論

今回述べたことは、業態ごとの特性を見た一般論です。例えば地方銀行より規模が大きい信用金庫があることを考えると、業態だけでなく、その金融機関の規模も含めて考えていきたいところです。また今後も安心して金融機関とつきあいできるように、金融機関が出しているディスクロージャー誌金融機関自体の財務内容を見ておきたいです。

 

つきあう金融機関の業態の組合せや、そもそもどの銀行・信用金庫とつきあうのかは答えがなく、奥が深いです。自社の資金繰りに金融機関が役に立ってくれるよう、最適な状態に少しでも近づくように考えていきたいものです。

 

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