信用金庫から融資を受ける
企業が融資を受ける金融機関は、メガバンク、地方銀行とともに、信用金庫、信用組合もあります。今回は信用金庫と付き合うことについて、述べます。
信用金庫とは、信用金庫法に準拠している金融機関です。銀行とは成り立ち・存在意義が違います。
信用金庫法第1条では「国民大衆のために金融の円滑を図り、その貯蓄の増強に資するため、協同組織による信用金庫の制度を確立・・・」とあります。信用金庫は営利目的の会社ではなく、協同組織、ということになります。
また信用金庫は「会員」の相互扶助を目的に預金・貸し出しを行うものです。その会員資格は
- 個人事業主でも法人でも、常時使用する従業員の数が300人を超えない。
- 資本金・出資総額が9億円を超えない
- 信用金庫の地区内に事業所を有する。
です。信用金庫は会員からの出資により成り立っており、一部の融資を除き融資は会員に対しなされますので、上記の条件に当てはまる会社でないと、信用金庫は融資を受けられないことになります。
平成26年3月末において、全国の信用金庫の数は267あり、貸出金合計は64兆4791億円です。単純に割ると1庫あたり2,415億円となります。これが信用金庫の貸出金の平均で、その数字と比較して、ある信用金庫の規模をはかることができます。
なお、下位地方銀行を上回る貸出金がある信用金庫もあり、全体としては地方銀行より信用金庫の方が規模は小さいものの、信用金庫によって差があります。
日頃、メガバンクや地方銀行を中心に銀行取引をしている企業経営者からしたら、銀行に比べて信用金庫はどうしても軽視しがちです。しかし信用金庫と取引をできると、下記の面で企業にメリットをもたらします。
1.金額が小さい融資、短期のつなぎ資金でも信用金庫は嫌がらずにやってくれやすい。
2.得意先係がこまめにまわってくれるため仲良くなり情報を得られる関係になりやすい。
3.信用金庫の中には地方銀行の規模に匹敵するところもある。
一つ一つ見てみます。
目次
金額が小さい融資、短期のつなぎ資金でも信用金庫は嫌がらずにやってくれやすい。
銀行は、金額が数億円でも、数百万円でも、融資審査にかける時間はそんなに大きな差があるわけではありません。
そのため、できるだけ金額の大きい融資を実行したく(金額が大きければそれだけ審査が厳しくなる面もありますが)、数百万円規模の融資は、面倒くさがる銀行員もいます。それは、銀行は営利を目的とした会社であり、銀行の支店には本部から課される営業目標があるため、それを達成するために効率的に行いたい、ということがあるでしょう。
一方で信用金庫は、相互扶助を目的とした協同組織であり、数百万円単位の融資は日常茶飯事です。こまめに融資を行ってくれます。
また材料代や外注費支払いから売掛金入金までをつなぐ短期間でのつなぎ資金のような短い返済期間の融資でもこまめに対応してくれます。
信用金庫は、このように使い勝手がよいのです。審査コストは高くなりますから金利は高めになりますが、融資金額が小さければ利息は大きな金額にはなりません。
得意先係がこまめにまわってくれるため仲良くなり情報を得られる関係 になりやすい。
信用金庫では、お客さんをまわってくる得意先係が、外で営業活動を行います。中には、一日30件~50件を訪問する職員もいます。
ひんぱんに顔を出してくれるのが、信用金庫の職員です。上司から、とにかくお客さんをこまめにまわって、融資のネタなど情報を得てくるように、言われています。
地方銀行ではほとんどなくなってしまった定期積金の集金のための訪問を、訪問をきっかけに情報を得るために、多くの信用金庫はいまだ、行っています。
そのため、毎月数万円でも定期積金の契約を行ったら、信用金庫の職員は毎月まわってくれるようになります。
また定期積金の集金のための訪問がない信用金庫でも、毎月○日~○日のあたりに来てほしい、と伝えておけば、まわってくれることでしょう。このようにこまめにまわってくれるので、融資の相談もしやすいです。
信用金庫の中には地方銀行の規模に匹敵するところもある。
信用金庫の貸出金は前述のように1庫平均2,415億円ですが、1兆円を超える大規模信用金庫もあり、そこまでいかなくても5,000億円を超えれば大きな信用金庫と言えるでしょう。信用金庫のホームページやディスクロージャー誌などで、調べることができます。
こう考えると、ある程度の規模がある信用金庫は、地方銀行と同様に考えてもよいことになります。
複数の銀行から融資を受ける場合、地域によってはメガバンクや地方銀行だけでは数が少なくても、信用金庫も合わせれば数が多くなります。
地元にはどのような信用金庫があるか、把握していますか。信用金庫も含め融資を受ける銀行の構成を考えていきたいところです。
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