メイン銀行が圧倒的シェアだと借入金利がおざなりになりやすい
一つの銀行からしか融資を受けない一行取引の企業は、他の銀行の融資金利の相場が分からないことから金利は高くなりがちですが、一行取引でなくても、融資量が一番多いメイン銀行の融資シェアが圧倒的である企業も、金利感覚は鈍くなりがちです。
融資シェアとは、企業が銀行から受けている融資において、それぞれの銀行からどれだけの金額の融資を受けているのか、を言います。
例えばある企業の融資取引は、次のとおりだとします。
A銀行 1億2000万円
B銀行 5000万円
C信用金庫 3000万円
3つの銀行の融資を足して融資総額は2億円ですから、A銀行の融資シェアは60%、B銀行は25%、C信用金庫は15%となります。
このように、融資を受けている銀行の融資シェアは、銀行の方で3ヶ月に1回程度、チェックしています。そうすると銀行では、融資のバランスが分かり、バランスが崩れると、銀行としては何があったのか調べるものです。この例では、A銀行の融資シェアは60%と圧倒的です。この場合、A銀行と長年取引していて融資シェアが圧倒的になっているのならば、金利について企業があまり注意を払っていないことが多いです。
なぜなら企業とA銀行との長年の取引によってお互いの信頼関係が築かれていることから、金利については二の次となっているからです。経営者も、A銀行との長年の取引、そして多くの融資を出してもらっていることから、今さら金利のことを細かく言えなくなっているのでしょう。
しかし、圧倒的メイン銀行の金利が高いと、次の問題が起こります。
- 融資量が多いため、金利の高さがそのまま、企業の支払利息の多さになってしまう。
- メイン銀行が金利が高止まりしている中で、2番手以下の銀行は金利を低くする意欲が起こりにくい。
もしあなたの会社に圧倒的なメイン銀行があり、その銀行と金利のことを今まで深く話したことがなかったら、金利引下げ交渉を行ってください。
今さらの金利引下げ交渉の名目
しかし経営者としては、今までメイン銀行と金利引下げについて話したことがない中、今さら金利のことを言いにくいかもしれません。この場合、使うと良い方法は、経営計画書です。
経営計画書を銀行に出したことがない企業はもちろん、銀行には出している企業でも、その経営計画書に金利の削減計画を明記したことがない企業は多いのではないでしょうか。
経営計画書には、事業をどう展開していくかはもちろん、経費計画も入れることができます。その中で、利益目標の達成のために経費削減目標を入れ、そこに支払利息の削減計画も入れるのです。
その経営計画書を銀行に提出し、金利引下げ交渉を行うきっかけとすることができます。銀行としても、経営計画書を提出する企業への評価は高く、金利の引下げによる支払利息削減計画は受け入れやすくなります。
2番手以下の銀行の融資シェアを高める
また圧倒的メイン銀行の金利を引下げさせるには、2番手以下の銀行から融資を受ける機会を多くして、メイン銀行へ刺激を与えていく、という方法があります。
銀行は定期的に融資シェアをチェックし、自分の銀行がその企業に対してどれだけの融資シェアであるか、常に気にしているものです。
メイン銀行は、融資シェアが小さくなってきたら、自ら気づくものです。そしてメイン銀行が「うちの銀行からも、もっと融資を受けてくださいよ。」と言ってきた場合、「おたくから融資は受けていきたいけど、他の銀行も金利をがんばってくれているからね。」と言うことにより、メイン銀行は金利を低くしなければ、自分の銀行の融資シェアは小さくなっていってしまうと危機意識が起きます。そして次の融資では低い金利を提案したり、場合によっては既存の融資の金利を引下げてくれることもあるでしょう。
企業それぞれ、どこの銀行からいくら融資を受けているか、創業以来の銀行取引の流れが現在の融資シェアに反映されています。
メイン銀行と長年の取引によって信頼関係を築いている企業であれば、メイン銀行からの融資シェアが圧倒的となりやすく、また金利は二の次となり高い金利のままであることが多いものです。
このような企業は、多くの利息を銀行に支払っていることになります。あなたの会社がそのような状態に陥っていないか、調べてみてください。
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