銀行員がバツを付けられる理由
銀行員がバツを付けられる理由にはいろいろあります。このバツとは、銀行員の人事評価でのバツ、ということです。
横領
代表的なバツは、お金の横領です。銀行員は入行して半年ほどは支店の預金係として、お金の勘定方法、伝票の書き方、各種書類の書き方、コンピュータへの入力方法など、銀行員としての基礎を学びます。
そこで、人生で今まで触れたことのないほどの大金を、銀行員は触ります。
また得意先係になると、外に出てお客さんのところに訪問しますが、その中に集金業務があり、お客さんから現金を預かったり、また銀行から現金を持っていったりします。そこでこわいのが、現金をたくさん手に持っていると、それが自分のものであるという幻想が起こってしまうことです。
普段はその現金に手をつけてはならないと思っていても、例えば株式投資やギャンブルなどを銀行員が行って大きな損失を出してしまった場合、例えばカードローンなどで多額の借金を抱えてしまっている場合、ふとそのお金に手をつけたくなってしまいます。
私は銀行員時代、私生活で株式投資を行っていたので、大きな損失を出して証券会社からお金の補てん(追証)を求められた時、その時に、銀行のかばんの中に入っていたお金に手を付ければ・・・と一瞬でも考えてしまったことがあります。このように銀行員は大金を触る機会が多いので、それに手をつけようとふと考えてしまう時があります。
そしてそのお金に実際に手を付ければ、それは横領、ということになります。
ただし銀行は内部管理体制が充実していますので、現金に手をつけてしまったことが銀行で判明しないことはなかなかありません。しかし考える行員はうまくごまかします。ただしいずれは、銀行に分かってしまいます。当然、退職となり、銀行から刑事告発されることも多いでしょう。
セクハラ・パワハラ
どこの会社でもそうですが、銀行でも当然、セクハラ・パワハラには厳しい対処がなされます。
私が銀行員時代、ある支店長は女性の預金係長と業務でうまくいかず、こじれて役員まで出てくる事態となり、支店長の方が閑職に追いやられてしまったことがありました。またある行員は、出世する人が行く支店に転勤して将来の展望が開けていたのですが、女性行員にまとわりつき、6ヶ月で小規模支店にとばされたこともあります。
そしてどちらの行員も、出世街道から外れてしまいました。このように銀行員は、一度バツがついてしまうと、なかなか這い上がってこれないものです。
事務の大きなミス
銀行はお金を扱う仕事ですので、当然、1円でも勘定が合わないのはいけません。
多くの銀行の支店では15時に閉店となりますが、その後は支店の中で、その日に動いた伝票と現金との付け合わせが始まります。1円でも合わなければ、床に1円が落ちていないかどうか、伝票の起票間違いはなかったのか、徹底的に調べます。
どうしても合わなかった場合、勘定違算としてバツが付きます。また伝票や契約書の紛失なども、当然大きなバツが付きます。このような事務のミスが多く起こったり、もしくは大きな事務のミスがあったりすると、人事部からはバツがつけられ、その後の出世に大きく響きます。
貸倒れ
融資を行った先が貸倒れとなった場合、その案件に関連した行員の評価が下がります。
ただし銀行の融資審査は稟議制、つまり審査書類が作られそれが支店内、もしくは支店と本部で回覧されるため、ある行員のみに全て責任が押し付けられることはないです。
例えばある得意先係の行員は、新規融資先に融資を行い、1回の返済もなくその企業は倒産、貸倒れとなったことがありました。後から分かったのですが、提出されていた決算書がそもそも大きな粉飾でした。
しかしその行員は後に支店長になりました。それを考えると、融資を行った企業が貸倒れとなっても、それで人事部から大きなバツが付けられることはないのです。
人生の落胆
お客さんの現金に手を付ける横領は、犯罪ですから当然、退職ということになります。しかしそれ以外では、銀行から退職を求められることはありません。ただ銀行内の人事評価でバツが付き、今後の出世に大きく響きます。
銀行員は、新卒でその銀行に就職した人が大半で、銀行以外の世界は知らないですから、銀行にて出世の道を絶たれたことが、人生の将来の展望を閉ざされたように感じてしまい、大きく落胆してしまいます。銀行には、何かの間違いで出世の道を絶たれたような訳あり銀行員が多くいるものです。
上記で述べた以外にも、ある支店で支店長から嫌われてバツがついてしまいそれ以降挽回できない人、支店長や上司から仕事で大きなプレッシャーを掛けられ精神的に病んでしまった人、そもそも仕事ができない人・・・
あなたがふだん、話をしている銀行員。出世が遅れてそうな人にはなんらかの原因がある可能性が高いです。そこを考えながら、銀行員と話をできれば、その銀行員と関係を深めることができるようになるかもしれません。
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