目標計画の未達判断を計画倒れ数値だけ見てはいけない
計画数値の設定にあたっては、一つひとつの数値が必ずしも計画通りになることに気を使いすぎる必要はありません。会社も金融機関も、達成できた・できていないをあまり短絡的に考えてはいけないのですが…。
大事なことは、検証・改善を重ねて最終的なゴールを目指すことですから。
しかし、計画の達成があまりにもできなければ、いつまでたっても目指す最終目標にたどり着くことができないことも確か。
特に、資金計画にあたっては、あまりにも精度が悪かったり、誤差が大きくなったりすると、資金ショートの懸念も考えなくてはいけなくなります。そこで、改めて精度の問題が出てくるのです。
精度は、続けることで上げていくものだが、制御不能要因は「一度は」止むを得ない
金融機関は概ね、計画数値に対しては80%の達成を求めることが通例となっていますが、ここ数年は一旦提出した計画が思うようにいかず、数度に渡って再計画を出し直すことが問題になっています。
もちろん、計画が未達であれば、その要因を分析し、改善していくことになりますが、単に計画通りか、そうでないかだけで議論が行われるのは企業側・金融機関側双方にとっておかしなことです。
実務上、よく間違われているのは、
・計画倒れの要因が、自社ではどうしようもないものだったのかどうかが仕分けされないまま、「計画未達」であることだけが問題になっている
こと。外部要因=自らコントロールすることができないもの、については、計画通りにならなくとも「最初の一度は」仕方がありません。震災の発生と、それに伴う売上減少を、予測できた人が、どこにいるでしょう?そこまで経営者に責任を求めるのは、あんまりですよね。
他にも、「予測不可能なもの」で、「自分の力を100%以上出しても、状況を変えられない」政治・経済・社会要因は
- 政治判断による影響(例えば関税の変化による供給量の増減や、外交関係の影響)
- 世界的な経済動向
- 突然の競合発生
等が挙げられます。しかし、あくまで一度です。一度発生し、認識できた外部要因は適応しなくてはならないのですから、その後時間とともに影響が薄まるようにしていくことが求められます。従って、制御不能要因は時間とともに精度が上がっていけばよいのです。
「なぜ未達か」を外部要因かどうかで考える
外部要因=自らコントロールすることができないものと確信できるものならば、いいことではないにせよ「これから適応していく」でよい、と金融機関にも胸を張って申入れしてよい、ということです。
その代わり、内部要因、自らコントロールできるものは精度が求められ、きっちりと履行していくことで「できるものは間違いなくやっている」ことを評価するべきでしょう。
外部要因と内部要因を混同しないことで計画倒れのように見える数値が真に問題なのかどうか、正しく考えることができるようになります。