融資スタンスを探るために銀行にカマをかける
銀行員は、融資先企業それぞれ、その銀行としてはどういう融資方針を持っているか、頭に入れているものです。そのため、あなたが銀行員と会話をする時、銀行員から出てくる一言一言が、銀行があなたの会社のことをどのように考えているのか、それを探るヒントとなります。
それを探るため、、あなたの会社が、近いうちに銀行からの資金調達を考えているということを、ほのめかしてみるとよいでしょう。
本当に、近日中に融資を受けるつもりでなくてもかまいません。日頃から銀行の融資スタンスを探っておくことによって、あなたの会社の銀行体制はどのように組んでおけばよいのか、資金繰りはどのように行っておけばよいのか、考えて準備しておく、大きなヒントとなります。
例えば、製造業であれば、「受注が上向いてきたので、このあたりで設備投資をしてみようか、考えているんだ。」と、小売業であれば、「業容拡大のため、新たな出店を考えているんだが。」と、銀行に投げかけてみるのです。銀行の融資スタンスを探るのに、分かりやすいのはこのような設備資金や業容拡大のための運転資金ですが、このような表現を行うことが難しければ、「既存の融資の返済が進んでいるため、このあたりで融資を考えているんだが。」というように言ってみるのもよいでしょう。
もちろん、実際に融資を受けられるかどうかは、銀行に書類を渡して、正式な融資の申込みと審査を行わなければ、分からないでしょう。
しかし、銀行の融資スタンスを探るだけであれば、このような軽い投げかけを銀行員に行ってみて、そこから出てくる言葉で、その銀行は自分の会社にどのような融資スタンスを持っているか、分かるものです。
あなたの会社に対しての銀行の融資スタンスが消極的、つまり融資総額を減らしていきたい、というものであれば、銀行員は消極的な言葉を言ってくることでしょう。
例えば、「審査してみなければ分かりませんが・・・他の銀行にもあたってみてください。」
「次の決算書を見てからにしてもらえますか。」
「ちょっとうちでは難しいと思います。」
これらの言葉は、融資スタンスが消極的であることが想像されます。一方で、その銀行が自分の会社に対して積極的な融資スタンスであれば、「分かりました。すぐに審査を行いましょう。」という言葉が出てきます。
ただし、銀行はその場で、「融資を行いましょう。」と即答はしません。
なぜなら、融資を行えるかどうかは、銀行での融資審査が通るどうかによりますので、銀行の担当者レベルで融資をしたいと思っていても、支店長や本部がノーと言ったら、企業から「おたく、融資をすると言ったじゃないか。」というクレームが来るからです。
そのため、銀行員の言葉をどう解釈するか、なかなか難しいのですが、すぐに融資審査を行う方向に持っていきたいというような言葉を銀行員が言ったら融資スタンスは積極的、あまりやる気がないような言葉を銀行員が言ったら融資スタンスは消極的、と考えてよいでしょう。
なお、銀行の融資スタンスには積極的(その企業への融資を増加させたい)と消極的(その企業への融資を減少させたい)の他に、現状維持、つまりその企業への融資はここ1、2年のピーク時の融資総額を超えない程度は融資を行っていきたい、というスタンスもあります。
この場合、ここ1、2年のピーク時の融資総額までは、銀行は新規融資を行ってもよいと考えているが、一方でその企業へ、それ以上に積極的に融資を行っていこうとも考えていないので、上記の、融資スタンスが積極的、消極的、どっちつかずの言葉が出てくることにより、判断が難しくなります。
全ての銀行で日頃から融資スタンスを探っておく
このように、すぐにその銀行から融資を受けるつもりがなくても、日頃から銀行の融資スタンスを、上記のような方法で探っておくと、出ると思っていた銀行から融資が出なくてあわててしまう、ということを防ぎやすくなります。
そうすると、あなたの会社の銀行体制はどのように組んでおけばよいのか、それぞれの銀行から融資は受けられそうなのかそうではないのか、それをふまえて資金繰り対策はどのように行っておけばよいのか、日頃から考えて準備しておくことができます。
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