銀行が顧客に貸出しを行う場合の貸出金利について
借入金利について話しさせていただきます。貸出金利とは、金融機関(銀行等)が顧客に貸出しを行う場合の利子率をいいます。その水準は、銀行の信用供与、企業の投資行動を通じ、経済活動全般に大きな影響を及ぼすと言われております。
日本の現行法上は、利息制限法、出資法、臨時金利調整法により最高限度の規制がなされています。しかし通常の企業向け貸出しについてみれば、諸規制中最低の臨時金利調整法に基づく規制上限でも十分高い水準にあるため、事実上は法規制の存在が意識されることはないかと思われております。
次に日本の現行法について説明させていただきます。
利息制限法とは
一定の利率を超える利息を制限し、高利の取り締まりを目的とした昭和29年に制定された法律の事であります。
利率の上限については下記の通りです。
元本10万円未満・・・・・・・・ 年20%未満
元本10万円以上100万円未満・・・年18%
元本100万円以上・・・・・・・・年15%
平成18年の貸金業法改正以前は、多くの貸金業者が出資法の旧上限金利29.2%と利息制限法の上限金利年15%から20%の間のグレーゾーン金利で貸付けを行ない、問題となっていたことも記憶に新しいかと思います。その後平成22年6月に貸金業法等の改正が完全に施工され、出資法の上限金利は20%に引下げられ、グレーゾーン金利は撤廃されました。
出資法とは
貸金業者などを規制する事を目的として、出資金の受け入れを制限し、浮き貸し・高金利などを取り締まる昭和29年に制定された法律。平成18年移行は利息制限法と同じです。
臨時金利調整法とは
第二次世界大戦以前は、日本の金融機関は貸出金利についても預金金利についても相互に協定を結ぶ非競争的な決定の慣行を定着させておりました。敗戦後、金利を規制する必要は戦前以上になっていたが、昭和22年制定の独占禁止法の自由競争体制の下では戦前から続く私的な協定による金利決定の方法は違法行為である不当な取引制限に該当されていると考えられいました。
そこで銀行、信託会社、保険会社、無尽会社、農林中央金庫、商工組合中央金庫等の金融機関の金利の最高限度を大蔵大臣が公定する方法を取り、従来の協定に代える事とし制定されたものです。
次に貸出金利について金融機関で使用されている主な貸出金利は次の様なものがあげられます。
短期プライムレートとは
金融期間が企業向けに対して1年以内の短期で貸し出す時に適用する最優遇貸出金利の事をいいます。
この短期プライムレートは、メガバンクのレートが一つの基準となり、各都道府県においては、有力地銀のレートが一つの基準になっていると言われております。
各企業様への貸出金利は、このレートを基に、信用リスク等の大きさに応じて上乗せ金利を付け加えて決められております。また、長期貸出の金利についても、この短期プライムレートに期間コスト、スプレッドを乗じて決定されております。
スプレッド貸出とは
通常は短期プライムレートを基準に金利は決定しておりますが、TIBOR(東京銀行間取引金利)という銀行間で金利を融通し合う時の金利を短期融資における基準金利として参考にしている貸出金利もあります。
但しスプレッド貸出を受けられる企業は、ある程度の規模を持った企業で、なおかつ一定の格付け以上の企業、つまり選ばれた
企業のみが利用できるもので、金額も1億円以上と決めている銀行が多いと思われます。
尚、長期借入金の場合、固定期間で調達しているケースもあるかと思いますが、その場合はスワップ金利という仕組みが適用されております。
自社の借入れについて、何が金利基準となっているのか確認していただき、今後借入れを行う場合は何が基準になるのか、その基準金利以外の銀行の儲けはどれだけなのか確認してみて下さい。そうすれば、金利の算出方法がわかりますし、いかに金融機関が儲けているのかわかると思います。
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