売掛金回収方法の甘さ
資金繰りが厳しい会社を見ていると、その一つの理由に、売掛金の回収が甘い、ということがあります。売掛金の回収が甘いということは、次の状態を意味します。
- 売掛金の回収までの期間(回収サイト)が長い。
- 売掛金の回収チェックが甘い。
売掛金の回収までの期間(回収サイト)が長い。
例えば年商が1億8000万円、それを12ヶ月で割って月商が1,500万円の企業の場合。この企業の回収サイトが平均3ヶ月であれば売掛金は4,500万円となり、回収サイトが平均2ヶ月であれば売掛金は3,000万円となります。
売掛金は、自分の会社が立て替えているお金のため、売掛金が多いとそれだけ、保有する現金は少なくなります。この例で言えばその差は1,500万円。現金をふだんから多く保有している企業でなければ、この1,500万円の現金を調達する必要があります。
金融機関から金利3.0%で借りた場合、1,500万円の年間利息は45万円ともなり、こう考えると売掛金の回収サイトが長いということは、利益を圧迫する要因となります。
回収サイトを短くするには、まず売掛金が発生する取引を開始した時、始めから回収サイトが短くなるような交渉をすること。売掛先の希望そのままの回収サイトを受け入れるのでは問題です。いったん受け入れた回収サイトは後日にそれを短くするのは困難です。
またすでに回収サイトが長い売掛先へは、回収サイトを短くする交渉を行っていきます。「どうせ拒否されるからやらない。」という考えではいけません。だめでもともとで交渉してみましょう。
売掛金の回収チェックが甘い。
1月31日に入金締切日となっていた売掛金。その入金がないまま、2月10日になっても売掛先に連絡することなく放置している企業があります。ひどい場合は、その未回収の事実も把握していない企業もあります。
そして未入金状態を放置していけば、売掛先としては「あそこは急いで払わなくても何も言ってこないから、次の支払いも行わないでいいや。」と、未回収の売掛金がたまっていきます。そしてその売掛先が倒産した時、大きな貸倒れが発生してしまうのです。
売掛先の資金繰りが厳しかったら、もし支払いが遅れた場合、即日うるさく言ってくる相手には優先的に支払い、何も言ってこない相手には支払いを後回しにするものです。
1月31日が入金締切日となっていたら、銀行口座の入金が終わる夕方以降に入金チェックを行い、もし入金となっていなかったらすぐに電話を入れて、「本日お支払いいただく予定でしたが、どうなっていますか。」と連絡する。これだけでも売掛先は「ここはうるさいから先に支払っていかなければ。」と思うものです。
また支払日を遅らせてほしいと言われたら、○月○日までには必ず払う、と約束させることが大事です。こういう売掛金の入金管理をしっかりやっていれば、未回収の売掛金は少なくなっていきます。
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