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金利に無頓着な社長

「社長、今回の融資はOKとなりました。金額3,000万円は希望通り、返済期間5年です。金利は2.8%です。」

 

これは、私が銀行員時代、融資を申し込んだ企業に対して、その審査が通ったことを伝える時の言葉です。この言葉、特に問題ないように聞こえるかもしれませんが、実は一つ、わながひそんでいます。

 

それは、金利です。実はこの場合、金利2.0%で稟議が通っていたりします。

 

しかし社長には2.8%で伝え、社長から何も言われず、高い金利で融資実行できれば、その銀行員は上司から褒められることになります。

 

金利2.0%で稟議を通しているのですから、それ以上の金利を企業からいただけるのなら銀行としては問題ないですし、多くの利息収入を銀行は得られるのですから、上司からは褒められます。

 

金利は、都道府県や市区町村の制度融資のように、あらかじめ一定の金利に決められている場合もあれば、一般の信用保証協会保証付融資やプロパー融資(保証付でない融資)のように、一定の金利に決められていない場合もあります。

 

一定の金利に決められていない場合、銀行と企業との交渉となります。しかし、金利に無頓着な企業があります。

 

融資を申し込んだ時、金利のことに特に触れない企業。そのような企業に対しては、銀行は金利を高く取りたがります。

 

そして先ほどの例のように、融資審査の稟議の時はあらかじめ低い金利で決裁をとっておいて金利交渉の幅を持たせ、企業に伝える時に高い金利を言ってその金利を適用させる。そのようにして、金利に無頓着な企業は、金利を高く取られがちということになります。

 

「金利は2.8%です。」と言い切られた時に、それを何も反論せずに受け入れることなく、「いや、それはちょっと高いんじゃないの?」と言うこと、そこから金利交渉が始まるのです。

 

「金利は2.8%です。」と言い切られても、そこから交渉ができないとは思わないこと。

 

日頃から、自社は金利にうるさい企業と思わせること。それが、金利を低くしていくためのポイントです。

金利は銀行間で競争させる

競争が起こる世界では、価格は安くなっていく。これは、銀行の世界でも同じです。いくつかの銀行が、ある一つの企業に対して融資を行いたければ、そこに金利の競争が起こります。

 

融資というのは、お金を貸すというサービスです。お金には特徴がなく、どこで差別を図るかと言えば、金利でしかありません。

 

あなたの会社は、何かを購入する時、相見積りをとることは多いですよね?

 

同じように、銀行間でも金利を競争させるべきです。しかし、銀行が融資を出したくない会社であれば、そのような競争も起こらなくなります。

 

良い経営を行って、銀行が融資を出したくなることが前提です。そして、金利を競争させるには、なるべく付き合う銀行を増やすことが大事です。

 

1つの銀行しか取引しないのは、もっての他です。

 

1つの銀行からしか融資を受けていない企業と、複数の銀行から融資を受けている企業。前者の方が、受けている融資の金利は高目となる傾向があります。

 

私も銀行員時代、自分の銀行からしか融資を受けていない企業には、金利は高く言ってもかまわないだろうと思っていました。

 

その企業は、他の銀行の金利水準を知らないわけですから。だから、複数の銀行と付き合い、金利を競争させて、自分の会社の金利水準を低くしていくべきなのです。

 

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