金利を金額で把握すること
経営者のみなさんに、ぜひ取り入れてほしい習慣があります。それは、金利は%とともに、金額で把握する、ということです。
例えば3,000万円の融資で金利が2.5%だとすると、毎月の返済は0円とした場合、年間の支払い利息は
3,000万円×2.5%=75万円となります。
では3,000万円の融資で5年60回返済、月50万円返済とすると、今後1年間に支払わなければならない利息はいくらでしょうか。
1年後の融資残高は2,400万円となり、この1年間の融資の平均残高は(3,000万円+2,400万円)÷2=2,700万円となります。そう考えると年間の支払い利息は
2,700万円×2.5%=67.5万円となります。
では完済までの5年間で、トータルでいくらの利息を支払うのでしょうか。
5年後の融資残高は0円であり、この融資の5年間の平均残高は(3,000万円+0円)÷2=1,500万円となります。そう考えると5年間での支払い利息は
1,500万円×2.5%×5年=187.5万円となります。
まとめると、3,000万円の融資を5年60回返済、金利2.5%で借りると、その借りるための費用は187.5万円になる、ということです。そう考えると、融資を受けるという行為は、大きな買い物である、ということが分かります。
では、金利2.5%を、はじめに交渉したり、何かの制度融資を使ったりして1.5%で借りるとしましょう。
そうすると、
1,500万円×1.5%×5年=112.5万円
となり、2.5%で借りた時より75万円、安く借りられることになります。
187.5万円を75万円値切った、と考えると、とてもお得ですよね。
一方で、信用保証協会の保証料など、融資を受けるコストは利息以外にもありますので、その分も含めてトータルで考えなければなりません。こう考えると、いかに低い金利で借りることが、経費削減のために重要かが分かります。
低い金利で融資を受けるやり方
では、どうやったら低い金利で融資を受けることができるのでしょうか。方法を3つ、お話しします。
1.都道府県や市区町村の制度融資を探す
制度融資で、低い金利で融資を受けることができるものが、各地にあります。
その制度を自ら探してみたり、金融機関に提案してもらったりしてください。
2.金融機関同士を競争させる
金融機関が融資を出したい企業であれば、金融機関同士を競争させることで、金利が低くなっていきます。
融資でどう差別化するか、そのポイントは金利ぐらいしかありません。私も銀行員時代、自分の銀行から融資を受けてもらうには、低い金利を提示するぐらいしか方法がありませんでした。
また融資の提案書を金融機関からもらって、そこに金利も表示してもらいます。そこに書かれた低い金利を交渉材料として、他の金融機関でも低い金利を提案してもらうのです。
そうやっていくうちに、低い金利で融資を受けられるようになっていきます。
3.金融機関のノルマを利用する
金融機関の支店には、得意先係という係があります。得意先係の仕事は営業です。
得意先係にはノルマがあり、融資の量というノルマもあります。
あなたの会社に金融機関が融資を売り込んでくるとしたら、そのノルマを達成しなければならないからです。
そうなれば、あなたの会社は金融機関に対し、有利な立場となるわけです。
「今までは金利1.8%で借りていたけど、次は金利1%前後ぐらいでしか借りる気ないから、それでもよければ融資提案をしてくれ。」と得意先係に話します。そうすると、結構、言うことを聞いてその要望にそった金利の提案をしてくれることがあります。
そして実際に金利1%前後で融資を受けることができれば、その金利が今後の標準になりますので、今後の融資も低い金利となりやすくなります。
以上、低い金利で融資を受けるための3つの方法をお話ししました。
金利は、1.5%、3.0%というように%で表示されるものであるため、それが企業にとってどれぐらいのコストになるのか、分からないものであります。
金利は、完済までトータルでいくら支払うか、金額で考える習慣を付けると、金利に対するコスト感覚が鍛えられてきます。そして、どうやって金利を下げていくか、考えてみてください。
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