売上目標を先につくることは間違いなのか?
売上と利益を改善することだけ考えても、資金繰りは楽にならない
「ここ数年苦しい中で必死に経営を続け、ようやく売上も上がってきたのに
現預金が心もとなくて、安心できない」
「少しは資金繰りも心配が減る方向に動いてくれないかな?」
という悩みを抱えた社長は多く、会計処理の結果と現預金の状態は連動しません。
限られた資金で利益を出したい時は、売上目標ではなく仕入目標を設定する
損益計算書の計画を考える時、どの項目から思い浮かびますか?
売上から思い浮かんだ場合は、これからは止めるべきです。
どんなに売上が増えようとも、結果として資金がショートすれば
会社は存続できません。
大半の会社は、売上が上がれば上がる程、前払いする仕入も増えるのですから
資金繰りは悪化します。
新規で借入ができない・借入をしない場合は売上が上がれば上がるほど、
資金繰りは大変になるため売上は制御しなくてはなりません。
仕入予算がオーバーすることが予想されるなら、
利益率の高いものから優先し、バックオーダーが入るくらいがいいでしょう。
「売上が上がれば利益も上がる」という考え方よりも
「同じ利益であれば、売上は少ない方が効率的」と考えましょう。
売上は「全社員の作業量」に比例します。
「売上が少ない方が仕入も抑えることができ、資金繰り負担が少なく
みんなの労力も少ない」ということです。
【ポイント】
◎仕入を制御して、資金繰りを確保する
⇒仕入範囲内で利益を確保できるように、受ける仕事の付加価値を上げる
その結果として売上がついてくる
このようなことを基本とすれば、資金繰りは改善します。
しかし、売上伝票だけで分かる売上と比べて、仕入や利益は
他の要因を足したり引いたりしないと分かりません。
これらを見える化し、把握できるようにするということが
中小企業経営者の腕の見せ所であり、また本来の「財務」の機能ともいえます。
執筆:今野洋之