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金融円滑化法終了後もリスケジュール継続するための経営改善計画

中小企業金融円滑化法終了後も、返済が完全に再開できない企業はリスケジュールを継続していかなければなりません。リスケジュールを継続するためには、期限ごとに金融機関にリスケジュールを更新してもらわなければなりませんが、そのためにどんな対策を行うべきか、必須になるのが、経営改善計画の策定です。

 

経営改善計画を作って金融機関に提出していない企業は、金融円滑化法が終了するまでに作って提出しておきたいものです。

また経営改善計画をすでに金融機関に提出している企業でも、リスケジュールを継続するためには、経営改善計画を、実抜計画(じつばつけいかく)の要件に沿ったものにしたいです。

実抜計画とは

実抜計画とは、経営改善計画の中でも「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」のことを言います。

 

実抜計画の要件は後述しますが、この要件に沿った経営改善計画は実抜計画と呼ばれ、それが提出されている企業への融資は「貸出条件緩和債権」には該当しないことになります。

 

貸出条件緩和債権とは、企業の業況悪化を理由として、以下の要件のいずれかに当てはまる債権のことを言います。

 

  1. 融資期間中、金利を引き下げ・棚上げ・減額・免除したもの。
  2. 当初の最終返済期限を延長したもの。
  3. 分割返済していたものを、返済猶予・ステップアップ返済・期日しわ寄せ返済・期日一括返済へ変更したもの。
  4. 正常な運転資金として算定される額以上に借入した運転資金の返済期日に、返済財源がなく、継続、延期したもの。(正常な運転資金・・・売掛金+受取手形+棚卸資産−買掛金−支払手形)

 

この1〜4は、つまりリスケジュールした融資のことを言いますが、その企業が実抜計画を提出していれば、その企業への融資は貸出条件緩和債権とはみなされません。

 

貸出条件緩和債権がある企業は、債務者区分で「要注意先」の中でも「要管理先」、もしくは「破綻懸念先」以下となりますが、実抜計画が提出されていれば、その企業への融資は貸出条件緩和債権ではなく正常債権とみなされ、その企業の債務者区分は「要注意先」の中でも「その他要注意先」、もしくは「正常先」となります。

 

ちなみに、貸出条件緩和債権は、金融機関にとっていわゆる不良債権のことですが、実抜計画が提出されている企業への融資は不良債権ではなく正常債権とみなされることになります。

 

「その他要注意先」もしくは「正常先」であれば、新規融資は可能となり、場合によってはリスケジュールしていながら、新規融資を受けることは可能となります。ちなみに弊社のコンサルティング先でも、このケースでリスケジュール中でも新規融資を受けられているケースが出始めています。しかしリスケジュールを行っている企業は基本的に新規融資を受けることは困難であることは踏まえてください。

実抜計画の要件とは

実抜計画とは「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」の略ですが、この「実現可能性の高い」という意味は、次のとおりです。

1.計画の実現に必要な関係者の同意が得られていること

これは、主に金融機関のことを言うでしょう。

2.当該計画を超える追加支援が必要とは見込まれないこと

追加支援とは、新規融資や、いっそう踏み込んだリスケジュールなどです。計画に書いてある以上の追加支援が必要と見込まれないことがポイントとなります。

3.計画における売上高、費用、利益の予想等の想定が十分に厳しいものとなっていること

計画が実現不可能なバラ色のものではなく、現実を踏まえた厳しいものであるか、ということです。次に「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」の中の「抜本的」という意味は、次のとおりです。

 

  • 概ね3〜5年後の債務者区分が「正常先」となること。
  • 計画が概ね計画通り(売上高や当期利益が計画比概ね8割)に進捗している場合、最長10年以内に「正常先」となる計画についても同様に扱えます。
  • 10年の計画を策定した場合、当初は「要管理先」として判断されるものの、その進捗状況が確認できれば、それ以降、実抜計画として扱うことが可能となるため「その他要注意先」になります。
  • 「正常先」とならない計画でも、計画期間終了後の自助努力により事業が継続できるのであれば「その他要注意先」となる計画であってもさしつかえありません。

まずは経営改善計画を

以上、金融円滑化法でリスケジュールを行っている企業が、金融円滑化法終了後もリスケジュールを継続するために、経営改善計画を作っていなければ作って提出すること、経営改善計画は実抜計画の要件に沿った方がよい、ということをお話しました。

 

なお金融機関は最近、経営改善計画に5ヶ年の予想貸借対照表・損益計算書まで盛り込むよう求めるケースも多くなっております。

 

また現実的に、この実抜計画の要件に沿った経営改善計画を作ることが難しければ、無理に要件に沿わせなくてもよいですが、リスケジュールを継続していくためには、とにかく経営改善計画は作るべきです。

 

そして経営改善計画策定後は、その計画を着実に進めていくことにより、売上・利益で最低8割の進捗は確保したいところです。そこまでできれば、金融円滑化法終了後も、金融機関がリスケジュールを継続してくれる可能性は高くなります。

 

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