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融資を受けているすべての銀行とのリスケジュールの交渉の仕方

リスケジュールでは、全ての銀行と交渉を行います。一部の銀行のみでは行いません。その理由は、次の2つです。

 

 1.銀行間での不公平がないようにする。

 2.返済額を一気に抑える。

 

 この理由を、一つ一つ、見てみます。

1.銀行間での不公平がないようにする

例えば、A銀行とB銀行、2つの銀行で融資を受けていたとします。このうち、A銀行のみリスケジュールを行い、B銀行でリスケジュールを行わなかったら、各銀行、どう思うでしょうか。

 

B銀行の方は今までの返済が続くので問題ないのですが、一方でA銀行としては、なぜ自分の銀行のみリスケジュールが行われ、他の銀行ではリスケジュールが行われないのか、不公平に思います。

 

リスケジュールは、返済すべきものを減額もしくは猶予することであるため、当然、銀行としてはその後、貸倒れのリスクが高くなり、受け入れたくないものであります。

 

リスケジュールは、全ての銀行で一律に行うことが原則です。

 

なお、銀行にリスケジュールを申込むと、銀行は、「では、他の銀行の返済はどうしますか。」と聞いてきます。他の銀行でも同様にリスケジュールの交渉を行っていることが原則であり、その話がどこまで進んでいるかを見て、自分の銀行でリスケジュールをどうするか、決めます。

 

また各銀行にて、リスケジュール後の返済額を決める方法には、銀行ごとの融資額で比例して決める方法、保証協会保証付部分や担保で保全されている部分を除いた融資額で比例して決める方法、リスケジュール前の返済額から何%をカットするかで決める方法など、いろいろあります。

 

しかし、そもそもリスケジュールにおいては、返済額を0円近くまで抑えるべきであります。ではなぜ、そうすべきなのか。

2.返済額を一気に抑える

なぜなら、中途半端なリスケジュールを行ってしまうと、リスケジュール後も返済ができなければ、もっと返済額を減額する交渉は行いにくくなるからです。

 

例えばリスケジュール前、毎月300万円の返済を行っている企業が、返済を3分の2カットして、毎月100万円の返済まで抑えたとします。

 

しかしその企業は、月100万円の返済をできる力があるのでしょうか。

 

毎月100万円以上、事業で現金を生み出していなければ、いくら月返済を100万円にまで抑えたからと言って、すぐに返済に詰まってしまうことになります。

 

そうなった状況で、月100万円の返済を、もっと減額してほしい、という交渉は銀行には行いにくいのです。

そのため、はじめのリスケジュール交渉時に、返済金額を0円近くにまで抑える交渉をすべきなのです。中途半端なリスケジュールは、後の資金不足につながりやすいため、一気に返済金額を減額するようにします。

全銀行でリスケジュールを交渉する方法

では、実際にリスケジュール交渉時、各銀行とどのように話していったらよいでしょうか。

それには、1.全銀行を集めてミーティングを開く方法、2.メイン銀行に音頭をとってもらう方法、3.企業側が各銀行と個別に交渉していく方法、とがあります。

1.全銀行を集めてミーティングを開く方法

企業が全銀行を集めて、ミーティングを開きます。そのメリットとしては、全銀行を集めるため、各銀行をまわる手間が省けること、です。

 

一方でデメリットとしては、意見がまとまらない場合、混乱を招いてしまうことです。デメリットを考えると、中小企業再生支援協議会に間に入ってもらって、全銀行のミーティングを開いてもらうのが、この方法をとるには現実的です。

 

しかしそれを行うには、再生支援協議会で2次対応まで進まなければなりません。メイン銀行から再生支援協議会に話を持ち込んでもらうと、2次対応まで話が進みやすくなります。

 

ちなみに1次対応とは再生支援協議会で窓口対応、つまり再生に向けてのアドバイスで終わること、2次対応とは1次対応から進んで再生支援協議会で再生計画の策定支援を行ってもらうことであり、2次対応で、全銀行を集めたミーティングを開いてもらうことができます。

 

1次対応から2次対応に進むことができる企業は、7社に1社程度です。

2.メイン銀行に音頭をとってもらう方法

融資が一番多い銀行など、メイン銀行に、各銀行との調整をとってもらう方法があります。

 

しかしメイン銀行としては他の銀行に気を遣うこと、メイン銀行としては手間がとてもかかること、顧客情報の守秘義務が気になること、などから、現実的にメイン銀行は、各銀行との調整をとることはなかなか引き受けてくれません。

3.企業側が各銀行と個別に交渉していく方法

リスケジュール交渉においてもっともとられる方法が、この方法でしょう。

 

企業としては手間がかかりますが、個別の銀行の状況を見て交渉ができること、リスケジュール交渉において不利になりかねない余計な情報が銀行間で共有されにくいこと、などがメリットとなります。

他の銀行のリスケジュール交渉状況を聞かれたら

リスケジュール交渉においては、他の銀行の交渉状況は必ず聞かれます。

 

リスケジュール実現に向けて前向きに進んでいる、ということを伝え、銀行に、はたしてリスケジュールは全銀行で成立するのかという疑念を抱かせないようにしたいものです。

 

リスケジュール交渉が円滑に進むには、全銀行の状況を踏まえた上で交渉を進めていくことが重要となります。

 

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