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仮払金の精算

経費の無駄遣いはしないというルールは、ほとんどの企業にありそのチェックは月次の試算表で行います。しかし、損益計算書に正しい経費が反映できていなければ、正しく経費をチェックすることはできず、無駄があるのか、それともないのかは分かりません。

社長と私の会話

私 :「社長、計画通りに経費は使用されていますが、現金の減少が早いです。」

 

社長:「どういうことかな。」

 

私 :「先月、社長が数万単位の現金の引き出しを、経理に頼んでいませんか。」

 

社長:「必要な時は、その都度言っているよ。」

 

私 :「また、社員の出張旅費を先に渡していますが、その後、精算はしていますか。」

 

社長:「それは、経理に聞かないと分からないよ。」

仮払金とは

仮払金とは、会社から現金を支出したが、その支出目的や最終的な支払い金額が確定していない場合に使用する資産の勘定科目である。そして、支払い先や支払い金額が確定した時点で、適切な勘定科目に振替えられる。

 

上記の会話にあるような、社長から現金がいるからちょっと出してくれという場合や、出張前に社員に渡した現金は、仮払金となる。そして経理では、仮払金の増加、現金の減少という処理を行う。

 

仮払金も現金も、損益計算書には出てこない勘定科目であるので、損益には反映されず、経費のチェックは行えない。後日、仮払金で何かの支払いを行い、支払った場所で領収書をもらい、会社に戻った時に仮払金の精算をする。

 

ここで、経費のチェックができる状態になる。しかし、社長が精算をしない場合は、社員も精算をしない。精算をしない理由は、領収書をもらっていない、領収書はもらったけれど無くした、というものである。

 

このように、仮払金は、非常に便利な勘定科目であるが、間違った使い方をすると、現金が減っているのにその理由がわからなかったり、無駄遣いの原因となったりする。仮払金の精算をしない状況で、損益計算書の予算と実績の進捗確認を行ったとしても全く意味がなく、どんどん現金は会社から出ていき、資金繰りは厳しくなるだけである。

 

決して仮払いが悪いわけではなく、仮払いの精算を確定後に行わないことが問題なのである。

 

この精算のルールがない企業も多くあり、例えば出張から戻った日から2日以内に精算処理を行うというルールを決めることが大切になる。当然、社長が率先して行わなければ、このルールは定着しない。

 

中小企業の場合、経理担当者が社長の奥さんの場合もあり、時に経理処理が甘くなることがある。また、会社と個人のお金が混在して使用されている場合もある。社長からすれば、会社にお金が無い時は、社長自らの自己資金を注入しているので混在して考えがちになるが、本来は明確に区別し、お金を管理するべきである。

 

声に出して言うか言わないかは別にして、社長のお金の使い方や管理方法は、社員は良く見ており、そこに会社全体の甘さや厳しさがでるのである。

この記事の著者

  • 野上 智之

    公立大学法人北九州市立大学卒業、大手システム会社を経て、教育研修会社での新規部門立上げや西日本責任者としての実践により、収支損益の黒字化と人財育成がなければ、企業は元気にならないという強い信念のもと中小企業に特化した経営コンサルタントに転身。現在も10社を担当し各地でセミナーや研修を実施したり、地域金融機関との連携を実施。行政書士試験合格、宅地建物取引士、動産評価アドバイザー(TAA)、中小企業庁ミラサポ専門派遣登録専門家、プッシュ型事業承継支援高度化事業登録専門家(中小企業庁)、再生支援ネットワーク会議メンバー(広島)

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