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利益を上げるための貸借対照表

決算書の貸借対照表を見ると、資産の部と負債の部、そして純資産の部、とに分かれます。

 

負債の部と純資産の部ではどのように資金の調達をしているかを表し、そうして調達した資金を使って何に運用しているかを資産の部で表しているものが、貸借対照表となります。

 

負債の部には借入金や買掛金、未払金などがあり、純資産の部には資本金などがあります。それらの勘定科目は、企業はどのように資金を調達しているかを表すものです。

 

そうして調達した資金を、資産の部の現金預金や売掛金、土地・建物、機械装置など、どのように運用しているのか、勘定科目で表されます。それと経費を使うことにより、企業は売上を上げ、利益を上げていくのです。

 

企業が利益を上げていくのも、出発は資金の調達からです。それは資本金であり、借入金であり、もしくは買掛金や支払手形、未払金なども資金の調達の一種です。

 

また資金の調達は、銀行から融資を受ける場面を見ても分かるように、苦労するものです。

 

資本金は、その元手を貯めるために経営者は蓄えを作ったり、第三者から出資してもらえるよう交渉していかなければなりません。

 

買掛金や支払手形は、支払のサイトを一定期間とってもよいという支払先からの同意があってのことですから、その同意を得るための交渉が必要です。

 

このように、資金の調達はどんなものであっても、それを調達するという苦労があります。そして調達した資金を、運用していく。その運用は、自分の会社に対し、利益がもたらされるものでなければなりません。

無駄な資産を抱えることによる重荷

では自社の資産は、それが全て利益を上げるためにうまく運用されているか、見てみます。

 

その資産が、無駄な資産が多い企業があります。

 

例えば、自社ビル。自社ビルを建てるには大きな金額が必要ですが、それは利益を生み出すものでしょうか?別に賃借でもよいのではないでしょうか?自社ビルを建てるには、土地も用意しなければならないとすると、大きな金額の借入金が必要となります。

 

言わずもがなですが、銀行から融資を受けた後、その資金は有効に使われなければなりません。融資が有効に使われるとは、それが多くの利益を生み出すことに使われる、ということです。

 

それが利益を生み出すものでないとすると、将来、その融資が重荷になってきます。

 

重荷とは、

 

  1. 毎月の返済の負担
  2. 金利支払いの負担
  3. 借入金が増加することによる、調達余力の低下

 

です。銀行から融資を受けるのに、これだけの重荷を抱えるわけですから、融資で受けた資金は、それが自社に大きな利益をもたらすよう、有効に使われなければなりません。

 

私は、融資は受けるな、ということを言いたいのではありません。融資を受けるのは、自分の会社が大きな利益を上げるために行われるべき、ということを言いたいのです。

 

経営者は、決算書の損益計算書を見るのはもちろんですが、それとともに、いかに負債や純資産として表される、調達された資金が、資産で有効に使われているか、そういう観点で貸借対照表もしっかり見るようにならなければなりません。

 

企業が利益を生み出すために融資で受けた資金が有効に使われていないと、上記で述べた重荷が発生します。

そのため、自社の資産は、利益を生み出すために使われている有効な資産であるかどうか、常に振り返りをする必要があります。

 

利益を生み出していない資産であれば、売却して運転資金にあてたり、資金に余裕があるのであれば融資の返済に充てるなど、考えていきます。

貸借対照表に載らない資産

自社に利益をもたらす資産は、貸借対象表に載らないものもあります。例えば、顧客資産と人的資産です。顧客資産とは、自社が取引をしている顧客、また見込客、過去の顧客などです。

 

これらの顧客は、今後、自社に利益をもたらしてくれるものです。

 

また人的資産とは、社員のことです。社員が働いてくれることにより、自社に利益がもたらされます(一方で人的負債の発生、つまり損失をもたらしてしまっている社員は、利益をもたらす社員になるよう、改善をはかっていくことが必要です)。

 

また自社に蓄積されている情報・ノウハウ・技術力なども、貸借対照表に載らない資産です。これら、貸借対照表に載らない資産も、どれだけのものがあるか、定期的に振り返ってみたいものです。

 

そして、これら貸借対照表に載っている資産、載っていない資産をうまく運用し、いかに利益を上げていくか、経営者の腕の見せ所です。

 

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