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売上が大きく減少した場合

売上が大きく減少してしまった。経営者にとって、恐怖なことの一つが、この事態です。例えば、次のような事態をイメージしてください。

 

 ・前期売上350百万円 → 今季売上200百万円

 ・1~3月平均売上30百万円 → 4~6月平均売上18百万円

 

売上が大きく減少する要因はいろいろありますが、売上が減少すると当然、利益も大きく減少し、赤字に転落してしまうことも多くあります。

 

また、売上に連動する費用である変動費と、売上に連動しない費用である固定費とで、固定費の割合が高い企業は、売上が減少すると一気に利益が減少します。自社は変動費と固定費はどれぐらいの割合であり、売上が減少するとどれだけ利益が落ち込むのか、ふだんからイメージしておくとよいでしょう。

 

では売上が大きく減少すると、銀行はその企業のことをどう見るのでしょうか。

企業の借入金規模は月商倍率で見られる。

そもそも企業は、どれだけの借入金水準であるのか。銀行は月商に比べて何か月分の借入金があるのか、で見ます。これを借入金月商倍率と言います。

 

例えば年商600百万円、12ヶ月で割って月商50百万円の企業が、借入金総額が150百万円あったら、150÷50=3ヶ月で、借入金月商倍率は3ヶ月となります。

 

借入金月商倍率が

0ヶ月~3ヶ月 借入金規模は適正
3ヶ月~6ヶ月 借入金規模は多い
6ヶ月~    借入金規模は過大

 

不動産仕入れが必須である不動産売買業や不動産賃貸業など、どうしても借入金規模が大きくなってしまう業種は例外として、銀行は企業の借入金月商倍率によって、このような見方をします。

 

年商600百万円、月商50百万円の企業が、借入金総額が100百万円であったら借入金規模は適正、200百万円であったら借入金規模は多い、というように銀行は見ます。

売上が減少すると借入金月商倍率は上がる

企業の借入金月商倍率が下がると、銀行は借入金規模が小さくなったと見てその企業に融資を出しやすくなり、逆に借入金月商倍率が上がると、銀行はその企業に融資を出しにくくなります。

 

借入金月商倍率が上がるには、次の2パターンがあります。

 

1.借入金総額が大きくなる。
2.売上が減少する。

 

1は当然として、2.売上が減少すると、借入金の総額に変化はなくても、相対的に借入金月商倍率は上がり、銀行はその企業への融資を引き締めにかかります。

 

これに加え、売上が減少すると利益が減少、場合によっては赤字化するわけですから、銀行は売上が大きく減少した企業には、いっそう融資を引き締めにかかります。

 

このように考えると、売上が大きく減少した企業は、どう利益を回復させていくかを考えるとともに、銀行対策をどうするかも合わせて考えなければならないことが分かります。

 

そもそも売上が大きく減少した場合、その売上はすぐに回復させられる見込みがあるのか、ないのか。

 

一時的な要因で売上が大きく減少し、すぐに売上が回復する見込みがあるのであればよいですが、売上が回復する見込みがない場合、経費を一気に削減し、売上に見合った適正規模の経費にまで下げる必要があります。

 

またそれとともに、売上が大きく減少した決算書、もしくは試算表を銀行に見せて、一回、融資を申込んでみるとよいでしょう。

 

借入金総額が変わらない中で売上が大きく減少すれば、借入金の水準は大きくなります。そのような状態で、銀行は融資を出すかどうか、スタンスを探ってみるのです。

 

それで、今まで銀行は融資を出してくれていたものが、融資が厳しくなったのであれば、一方で大きい返済負担が残るので、リスケジュール、つまり融資返済の猶予や減額を、銀行と交渉することを検討しなければなりません。

 

このように、売上が大きく減少すると、銀行が融資のスタンスを変えてくることが多いので、すぐに銀行の融資スタンスを探るべきであり、銀行にどう対応していくか、考えていってください。

 

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