一人当たり限界利益
あなたの企業の業績を世間と比べてみよう
数字が苦手だという人は経営者のなかにも結構多い。無味乾燥に見えてしまうのだという。しかし、経営に関わっていて数字を避けて通る訳にもいかないので、今日は数字に興味がもてる方法を述べてみる。
まずは、数字には必ず”比べる”ものが必要だということである。特に経営者として、是非とも比較していただきたい大切な数字は次の3つであろう。
1.世間全体の業績
2.ライバル社の業績
3.自社自身の過去の業績または計画値
である。この3つの数字を、現在のあなたの企業の数字を比べてみることで、初めて経営に”思い”というものが吹き込まれるのである。
1.世間であなたの企業がどのような位置づけにいるのか。
2.ライバル社に対してあなたの企業は頑張っているのか。
3.昨年あるいは先月の業績と比べて成果はあったのか。
まず手始めに、あなたの企業の数字を世間の中小企業の平均値と比べてみることにしよう。比べる数字として【1か月の限界利益】を選んだ。【限界利益】とは、売上高から変動費を引いたものである。企業が生み出す付加価値、企業が社会に存在する意味だといってもよい。もっとも重要な数値の一つだ。
売上高から控除する変動費としては、代表的なものを4つ選んで下記に記載した。
(1)商品仕入原価
(2)材料費
(3)外注費
(4)荷造り運賃
【1か月の限界利益】の公式
1か月の限界利益
=月商売上高-(1)商品仕入原価
-(2)材料費
-(3)外注費
-(4)荷造り運賃
さらに、この【1か月の限界利益】を従業員数で割ってみる。すると【一人当たりの1か月限界利益】になり、企業の規模にかかわりなく同条件になるので比較しやすくなる。
【一人当たりの1か月限界利益】の公式
一人当たりの1か月限界利益
=1か月の限界利益÷従業員数
そして、下記が世間の中小企業の平均的な数字である。
【一人当たりの1か月限界利益】
中小企業全体 696千円
製造業 645千円
卸売業 760千円
小売業 497千円
建設業 766千円
運送業 703千円
宿泊飲食業 405千円
さあ、あなたの会社の数字と比べていかがであろう。世間全体の平均と比べてみて、安堵や逆に不安などが心の中に浮かんだであろうか。心になんらかの思いが浮かんだのであれば幸いである。
※参考文献
中小企業実態基本調査報告書
中小企業庁
※参考数値は上記資料の中小企業の平均値から算出した。ただし個人企業は削除。