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なぜ銀行は他行の融資残高を聞くのか

銀行は、あなたの会社に、「他行の融資残高を教えてください。」と、聞いてきませんか?これは、銀行側からすると、融資先に対して3か月に1回のペースで他行の融資状況を聞くようになっていて、その行動となります。

 

聞く項目は、各銀行の、商業手形割引・手形貸付・証書貸付・当座貸越の別に、それぞれの融資残高です。また、もっと細かく聞く銀行は、合計ではなく融資1本1本の金額や、返済金額、金利まで聞いてくるでしょう。

 

そもそも、なぜ銀行は、他行の融資残高を気にするのか。

 

それは、他行も自分の銀行と同様に、その企業に融資を出しているのかチェックするため。これが、第一の理由です。銀行は、企業から他行の融資残高を聞くと、それを表に記録します。今までの各銀行ごとの融資残高の推移は、時系列で表に記録されていて、その表に、今聞いた各銀行の融資残高が新たに記録されます。また、聞いた時点ごとに、各銀行ごとのその企業における融資シェアが計算、記録されます。

 

例えば、次のように、です。

 

銀行名 融資残高 融資シェア

 

A銀行 120百万円 48%
B銀行 80百万円 32%
C銀行 50百万円 20%

 

また時系列に、各銀行の融資シェアは上がった、下がった、ということが、矢印の向きで表現されます。

 

この、融資シェアの推移を、銀行は気にするのです。

1.業況が厳しい企業の場合

業況が厳しい企業へは、銀行は融資を出したくありません。

しかし、その企業がどこの銀行からも融資を受けられなくなってしまえば、その企業は資金不足となり、倒産してしまうことになります。各銀行が一定量の融資を出していかないと資金はまわらず、他の銀行がその企業へ融資を出していくのを見て、自分の銀行も融資を出していきます。

 

それが、他の銀行は全て、その企業への融資をストップし、自分の銀行だけが融資を出していたら、自分の銀行の融資シェアはどんどん大きくなってしまいます。そしていつか、その企業のリスクを自分の銀行は大きく被ってしまうことになります。こうならないように、3か月に1回、他行の融資残高を聞いているのです。

2.優良な企業の場合

優良な企業へは、銀行は融資をどんどん出したくなります。優良な企業へは、自分の銀行の融資シェアを高め、あわよくばメイン銀行の地位を獲得しよう、と考えるものです。そのような企業へは、融資シェアを高めるように、他行の融資残高を聞いてチェックしますし、逆に融資シェアが低くなれば、その企業の担当者は、上司からハッパをかけられるものです。

厳しい状況の企業としてはどう対応するか

もし自分の会社が厳しい状況であれば、各銀行は、自分の銀行だけ融資を出してリスクを背負わないよう、互いにけん制し合っているものです。そのため、どこかの銀行が融資を出さなくなれば、他の銀行も、他行の融資残高の状況を見て、融資を出さなくなる、ということがよくあります。

 

これが、銀行がその企業に対し一斉に融資を引く、その現象の背景です。

 

銀行が一斉に融資を引いてしまえば、一方で既存の融資を返済し続けることはできず、すぐに銀行に交渉して、返済を減額もしくは猶予してもらわなければなりません。これがいわゆるリスケジュールです。

 

あなたの会社も、毎月の銀行ごとの融資残高を表にし、それぞれの銀行の融資シェアを時系列で見てみると、どこの銀行が融資をがんばってくれていて、どこの銀行が融資を引き気味であるのか、見えてくるでしょう。このような表を作ってみると、役に立ちますよ。

 

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