債務者区分を良くして銀行から融資を受けやすくする方法
債務者区分は、正常先・(一般の)要注意先・要管理先・破綻懸念先・実質破綻先・破綻先、に分けられます。
融資を受けている企業は、銀行から、いずれかの債務者区分を付けられているのですが、この債務者区分が、あなたの会社が銀行から融資を受けやすいかどうかを決める、大きなポイントとなります。
債務者区分が正常先であれば、企業は融資を受けやすいのですが、正常先ではなく(一般の)要注意先であれば、将来、企業が正常先に回復することが期待できるのでなければ、新たな融資は受けにくくなります。
また要管理先以下であれば、新規融資は困難となります。
こう考えると、あなたの会社が銀行から融資を受けやすいかどうかは、銀行があなたの会社に債務者区分をどう付けているか、これに大きく左右されることになります。
債務者区分を良くして、融資を受けやすくしたいですよね。それであれば、まずは、自社が銀行からどのような債務者区分を付けられているか、把握することからスタートします。
そして、自社の債務者区分が悪ければ、どうやったらそれを良くすることができるのかを知って、その行動をとっていくこと、です。
自社の債務者区分を知る方法
では、どうやって自社の債務者区分を知ることができるのか。
まずは、銀行に直接、聞いてみることです。銀行は、企業に債務者区分を直接、言いたがらないものです。なぜなら、正常先ならまだしも、要注意先以下なら、企業の経営者から「なぜうちの会社が要注意先なのか?」と突っ込まれやすいからです。
そのため、銀行から自社の債務者区分を聞きたいのなら、「自社の債務者区分を教えてほしい。教えてほしい理由は、自社の債務者区分を知っておいて、今後その区分が良くなるように経営努力したいから。もし今は悪い区分でもかまわない。現状を包み隠さず教えてほしい。」というように、理由と、それを聞いてどう活かしたいか、を伝えることです。
こういう言い方をすることにより、銀行員は警戒心を解き、債務者区分を教えてくれやすくなります。
これでも教えてくれなければ、私が作った債務者区分の判定表(前号でも掲載)で、自社の債務者区分を自分で判定してみるしかありません。
これで、自社の債務者区分を知ることができました。
債務者区分を良くするためにどう行動すべきか
次に行うべきことは、債務者区分が要注意先以下であれば、その区分を良くするためには、
1.どう説明資料を作って銀行にアピールするか。
2.そもそも自社の状況が、どうなっていかなければならないか。
これを知って、行動に移していくことです。
債務者区分は、上記の債務者区分判定表を見ると、
1.融資の状況
2.企業の状況
この2つで判定されることが分かります。
1.融資の状況では、リスケジュールや延滞等となっていれば要注意先以下となります。
2.企業の状況では、損益計算書が赤字、貸借対照表が実質債務超過などであれば要注意先以下となるのですが、赤字が一過性のものであったり、次期決算で赤字解消が確実であったりすれば、債務者区分は正常先に引き上げてもらえることがあります。
そうしてもらえるように、企業が、赤字が一過性である説明資料や、次期決算で赤字解消が確実である説明資料などを作って、銀行にアピールすることが、企業の債務者区分を良くし、融資を受けやすくするための行動の一つ、となります。
また債務者区分が良くなるには、そもそも自社の経営がどういう状況になっていかなければならないか、が分かれば、どう経営改善を行っていくか、方向を知ることができます。
同じように、破綻懸念先企業が債務者区分を良くして要注意先になるための行動も、上記の債務者区分判定表を見ることによって知ることができるでしょう。
私は銀行員時代、企業一社一社の債務者区分を決めるための自己査定をたくさん行ってきましたが、銀行員としては、企業の債務者区分は少しでも良くあってほしいものです。
なぜなら、債務者区分が悪い企業への融資は、貸倒引当金が多く必要になり、 その分、銀行の損益を悪化させるから、です。
そのため、自分が担当する企業で債務者区分が悪い企業に、債務者区分を良くするための材料を見つけ出そうと、その経営者にいろいろ聞き出そうとしました。
しかし経営者が非協力的であるため、債務者区分を良くしてあげることができず、悪い債務者区分となってしまった企業もたくさんありました。こういうことにより、債務者区分が悪くなり、自ら首を絞めてしまう企業、大変もったいないです。
企業の債務者区分が悪ければ、どうすれば良い債務者区分となるか、上記の債務者区分判定表を見るとその方法が分かりますので、それを見て債務者区分を良くするための行動をとっていくことによって、自分の会社を、銀行から融資を受けやすい体質に変える、第一歩、となります。
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