あなたの会社は債務者区分と信用格付が決められている
債務者区分と信用格付、あなたの会社が銀行から融資を受けているのなら、必ず付けられています。金融庁には「金融検査マニュアル」があり、それに基づいて、銀行は融資を出している企業それぞれに、まず「債務者区分」を付けます。
これが銀行の自己査定と呼ばれるものです。
「債務者区分」とは「金融検査マニュアル」に基づくものですが、それとは別に、銀行独自でそれぞれの融資先企業に付けているものが、信用格付です。「債務者区分」は金融庁のマニュアルによって決められたもの、「信用格付」は「債務者区分」をもとに、銀行独自でもっと細かく決められたものです。
まず「債務者区分」は、次の区分に分けられます。
- 正常先
- 要注意先
- 破綻懸念先
- 実質破綻先
- 破綻先
それぞれ、次のように定義されています。
債務者区分の定義
1.正常先
業況が良好であり、財務内容に特段の問題もなく、延滞もない企業のことです。
2.要注意先
要注意先には、通常の要注意先と、要管理先、に分けられます。要注意先とは、業況不調で財務内容に問題がある、もしくは融資に延滞がある企業のことを言います。要注意先の中でも、特に融資の全部または一部が要管理債権である企業は要管理先となります。
ちなみに要管理債権とは、3ヶ月以上の延滞となっている融資、もしくは貸出条件緩和債権である融資のことを言います。
なお貸出条件緩和債権とは、債務者の経営再建または支援を図ることを目的として、金利の減額や免除、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄などの取決めを行った融資のことを言います。
こう言うと難しそうですが、まとめると、3ヶ月以上の延滞、もしくは貸出条件緩和債権にあてはまる融資のことを要管理債権と言いますが、要管理債権がある企業は要注意先の中の要管理先となり、そうではないが業況不調で、財務内容に問題がある、もしくは融資に延滞がある企業は通常の要注意先、となります。
3.破綻懸念先
経営難にあり、改善の状況になく、長期延滞の融資がある企業のことです。
4.実質破綻先
法的・形式的には経営破綻の事実は発生していないが、自主廃業により営業所を廃止しているなど、実質的に営業を行っていないと認められる企業です。
5.破綻先
破産などの法的手続きが開始されていたり、手形の不渡りにより取引停止処分となっている企業のことです。
実際に銀行はどうやって債務者区分を査定するか
銀行は企業に債務者区分を付けるにあたって、銀行それぞれでマニュアルを作成しており、それにのっとって査定を行っています。
そのマニュアルの視点は、企業の財務状況と、融資の返済状況であり、損益計算書の経常利益もしくは当期利益が赤字であれば原則、要注意先以下となり、また貸借対照表の実質純資産がマイナスであれば原則、破綻懸念先以下となります。
ただ銀行の自己査定の実際は、こんなに単純なものではなく、経常利益や当期利益が赤字、もしくは純資産が実質債務超過であっても、良い債務者区分に引き上げられることもあります。
債務者区分により銀行はどう態度を変えるか
債務者区分がどう付けられているかにより、銀行は融資をどうするか、態度を変えてきます。要注意先以下になると、融資が厳しくなってきます。
通常の要注意先であれば、銀行は積極的な新規融資は行ってきません。しかし将来、その企業が正常先へ回復することが期待できるのであれば、新規融資を行うこともあります。また要管理先、もしくは破綻懸念先以下であれば、新規融資は不可となり、銀行はその企業から、できるだけ多くの融資を回収したい、という姿勢になります。
そのため企業としては、できるだけ良い債務者区分となるように、考えて行動していかなければならないわけです。
信用格付とは
信用格付とは債務者区分をもとに、銀行独自で細かく行われた格付のことを言います。例えば、
正常先 1格~6格
通常の要注意先 7格・8格
要管理先 9格
破綻懸念先 10格
実質破綻先 11格
破綻先 12格
というように、債務者区分が元となり、それぞれの債務者区分の中で、細かい信用格付が決められます。この信用格付は、銀行の融資の態度や、金利を決める基準などに使われます。
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