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預貸率

皆さんは『預貸率』という言葉を耳にされた事がありますか?

 

現在、無借金で今後も金融機関からは一切お金を調達しないという会社の経営者の方であれば気にする必要はありませんが、金融機関からお金を調達している経営者の方であれば知っておかなければならない言葉です。

 

預貸率とは金融機関の預金残高に対する、貸出残高の割合のことであり、調達したお金を、どれぐらい融資に回しているかを見る指標で、高いほど貸し出しが活発な傾向があります。

 

一方、融資が少なければ預貸率は低くなり、その場合は債券など有価証券で資金運用する傾向が強まります。

平成23年中間決算時点の金融機関区分別預貸率数値を見てみると

 

全国銀行(119行)…69.1%

都市銀行(6行)…65.0%

地方銀行(63行)…71.2%

第2地方銀行(42行)…73.9%

※数値出所…(社)全国銀行協会

 

という数値が発表されています。そして中小零細企業が最も利用している信用金庫の状況を見てみると

愛知県の信用金庫預貸率…48.6%

 

と50%を下回っている状況が続いており、一番高いのが岡崎信用金庫の59.1%で一番低いのが愛知信用金庫の31.4%となっています。上記数値を基準として自社が取引をしている金融機関の現状を見てみてほしい。(以下URL参照)

 

地域別金融機関の経営指標は以下金融庁のHPに掲載
http://www.fsa.go.jp/policy/chusho/shihyou.html

 

全国の預貸率平均値に比べて取引金融機関がどの様な預貸率になっているのか?またどの様に推移しているのか?同地域競合金融機関の預貸率はどうなのか?どの様に推移しているのか?当然ながら預貸率が全てではありませんがこの指標を知ることで、金融機関の融資における傾向を知る事が出来ます。

 

愛知県に本店のある某信用金庫の担当者が実際に言っていた事が「当庫の評価制度自体が預金に重きを置いており、新規融資に対してのポイントが余りにも少なく、渉外担当としては預金集めに積極的にならざる得ない」と話していました。

 

経営者として取引金融機関の経営指標を頭に入れつつ、実際の金融機関担当者との会話の中での質問で金融機関内の現場の話を聞く事で、金融機関の姿勢を把握する事が重要です。

 

そして中小零細企業においては取引先金融機関の動向変化一つで自社のかじ取りに大きな影響を及ぼしてしまいますので、融資に積極的な金融機関との取引を最低でも3つ程度はしておく必要があります。

 

有名な孫子の兵法に

 

彼を知り己を知れば、百戦殆(あや)うからず。

彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。

彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆(あや)うし。

 

という有難いお言葉があるように、中小企業の最大の利害関係者である金融機関の経営指標を知る、今後の動向を知る事は昨今の不安定な金融情勢を鑑みると経営のかじ取りをする上で今まで以上に重要になってきます。

 

今まで全く金融機関の経営指標を見られた事が無い方もまずは預貸率からみられる事をお勧めします。

 

執筆:奥田雄二

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