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年末に銀行は何を言ってくるか

気がつけば、もう11月も後半。年末まであと1ヶ月少しです。銀行も株式会社ですから、毎年3月の決算が近づくと、その期の目標数値とのにらめっこが激化しますが、年末も同様です。

 

決算が近くなって、目標を達成できそうな支店や担当者はのんびりできるのですが、達成できていない支店や担当者は大変です。

 

銀行の目標も様々ですが、その中に、「不良債権の回収金額」という目標が存在します。再生途上にある企業にとっては、銀行にこのような目標があるのは、大変気になるもの。

 

しかし日常の信頼関係があれば、企業がこの目標の影響を受けることは最大限回避できますから、過剰な心配はせず、一方で軽んじることもなく、対応していかなくてはなりません。

 

毎年3月は銀行にとっての決算月ですから、銀行にとって最も大変な時期です。次に大変なのが、

 

  • 半期決算となる9月
  • 年末でもあり、通期の動静が見え始める12月

 

の2つ。いわゆる第2・第3四半期ですね。

 

銀行の場合、新しい年度初日の4月1日に目標が本部から各支店に通知されるわけではなく、ゴールデンウィークくらいまでの間に目標が遅れて通知されたり、追加目標が通知されたりすることも多いため、6月の第1四半期終了時は、目標の進捗状況は、あまり重視されません。

 

一方で、第2四半期終了の9月、第3四半期終了の12月、決算月の翌3月、それぞれ、銀行は重視する月ですが、その中で銀行が重視する項目は異なってくるものです。

3月は収益が重視される。

3月は決算月であるため、1年間トータルの収益が最も問われます。3月の銀行において、昔に比べて融資・預金残高はあまり重視されず、一方で収益金額はより重視されるようになっています。したがって、3月の終盤なって「借りてください」と銀行が企業に言ってくることは、一昔に比べれば減っています。

 

なぜなら、「3月に銀行が融資したものは、利息収益が、1ヶ月分だけしか、目標に対する実績としてカウントされない」からです。

 

3月に出した融資でも、4月以降の利息収益は、あくまで翌期の実績の扱いなのです。そのため、銀行が3月に融資の売り込みをしてきた場合、3月末日だけの残高を銀行が欲しがっている可能性が高い。

 

融資を受ける企業側に、銀行の都合による依頼に応じる義務はありませんが、もし銀行の3月の融資残高の増加に企業が協力するのであれば、1ヶ月以内に返済する短期借入の形でよい、ということになりますね。

 

一方で、銀行にとっての収益商品として、社会問題にまで発展した金利スワップ・為替スワップなどのデリバティブ商品。これを、銀行担当者が以前、強引に取り扱いしてしまったのも、銀行の収益目標が背景にあります。

 

これらデリバティブ商品は、その対象期間が何年であろうとも、「実行した日に、すべての期間にわたる収益が実績換算される」規定になっている銀行が大半です。

 

つまり、収益目標が足りていない銀行担当者にとっては、例え3月31日に1億円の融資をしても、1日分の金利収益しか得られませんが、同日に5年契約のデリバティブを組めば、一気に5年分の収益をその期の実績として得られる、というわけです。

 

銀行担当者は、目標を達成しようとすればするほど、期末が近づくと、このような発想にならざるを得なくなるわけです。

 

一時のような、優越的地位を利用したデリバティブの販売は、さすがに最近は沈静化しておりますが、もしそのような売り込みがあった場合、あくまで自社のメリットを検討してから対応を決めるべきでしょう。

9月は中間決算

上場している銀行ともなれば中間決算に対する注目度も相当なものですから、3月と同様に収益は重視されます。

 

しかし、優秀な銀行員や、その上司ほど、「総融資残高」もまた気にします。というのも、9月の段階で残高が十分にあれば、半年分以上の金利収益が約束されるため、それ以降の下半期経過後の目標達成に向けて、有利になるからです。

12月の結果で翌1~3月のキャンペーンが決まる

12月は、その末日の状況で1~3月のキャンペーン、つまり銀行が、何を営業推進するかが決まるため、12月はそれを決めるための様子見の時期、という意味合いが強いです。

しかし、12月30日までは営業している銀行にとって、そして中小企業にとっても怖いのは「12月30日の手形不渡りや支払いショート」銀行側は時に、この対応に追われます。

12月30日、お昼頃に銀行員が企業の当座預金の残高を調べてみてらマイナス、でも会社に電話しても年末休暇でだれもいない…という展開ですね。

銀行は知りうる限りのあらゆるルートで、社長や経理担当者に連絡をとろうとします。銀行は、企業の年末休暇の時期に、心の中では申し訳ないと思っても、何もしなければ不渡りになってしまうため、やむをえない銀行の行動です。

ある銀行担当者が、不渡り回避などの対応に追われている中、細かく融資や預金残高を積み上げ、収益を稼ごうとする担当者もいます。これは、「12月30日の融資・預金残高は翌1月3日までは維持される可能性が高い」から。

なんのことはない、ちょっとした銀行担当者の小細工です。しかしこの程度であれば、中小企業にとっても何かデメリットがあるわけでもないでしょう。

以上、述べたように、節目節目で銀行員が言うことの裏側にある、銀行の目標について理解しておくと、銀行員の本音を知る一つの手掛かりになることになります。

 

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